2014年12月25日木曜日

年末年始休業について

年末年始の営業について、お知らせいたします。


【休業日】
2014年12月27日(土)~ 2015年1月4日(日)

・受注の確定・ご入金の確認
・各種メールのご回答およびご返信
などをお休みさせいただきます。


【年内最終発送】
12月26日(水)21:00までに、ご入金が確認できている方に限り、
27日までに出荷させていただきます。

12月26日(水)21:00以降にご入金が確認できた方は、
1月5日(月)より順次発送させていただきます。

各種お問い合わせメール等も、1月5日より順次ご対応となります。



ご迷惑おかけしますが、よろしくお願いいたします。

2014年12月14日日曜日

帰省問題

先週、英国のグリーフケア組織・クルーズのガイドを元に年末年始の過ごし方という記事を書きましたが、
そこで触れなかったのが帰省問題です。

イギリスでのクリスマスと同等もしくはそれ以上に、
日本では「年末年始に実家へ帰省すること」が美徳とされている風潮があります。

しかし、私達遺族にとって「親戚の集まり」は、居なくなってしまった人の存在を強く感じさせられる場でもあります。
そして、親戚の中には「早く再婚しろ」だの「早く次の子供を産め」だの余計なひと言を言いたがる人が一人はいるもの。

年末年始に親族と過ごす自分を想像して、少しでも「嫌だな」「気が重いな」と思ったら、
「今年はそういう気持ちになれないので帰省しない」もしくは
「自分だけ・家族だけで静かに過ごしたいの帰省しない」と伝え断ってしまいましょう。

お相手があなたのことを本当に思ってくださる方なら、あなたの気持ちを理解してくださることでしょうし、
そうでない人であったら、そんな人の感情なんかより、あなた自身の気持ちを大切にするべきだと思います。


心休まる時間を手にするために、少しだけ勇気を持ってみてください。

年末年始が、皆様にとって静かに休められる期間となりますように。

2014年12月11日木曜日

年末年始の過ごし方

クリスマス、そしてお正月が近づいてきました。

このシーズンは一年で最も家族の絆が強調される次期。
大切な家族を亡くした遺族にとって、過ごしづらい季節です。

私の場合、息子の病気が判明し入院したのがクリスマスイブの前日だったこともあり、
毎年クリスマスが近づくと、心と体の調子を崩します。

今年はクリスマスイルミネーションも、ひとりでならぼんやりとですが楽しめて
「少しは克服できてきたかなー」と思っていたのですが、
お仕事がひと段落したとたん、急に体が重くなってしまいました。
「まぁ、他の季節と同じようにはいかないよな」とある意味納得しています。


そんな遺族仲間の方に向けて、昨年「年末年始の過ごし方」という記事を書きました。
イギリスの国家的なグリーフケア組織クルーズのホームページで見つけた文章の翻訳を中心にした記事です
遺族の方へ-年末年始の過ごし方-(Cruse Bereavement CareのHPから)


とても長い記事になってしまったので、今年バージョンとして要点をまとめ直してみました。
この季節をやり過ごすためのポイントは3つあると思います。


1.あらかじめ、年末年始をどう過ごしたいか考えておく。

何の準備もなくこの特別な日に臨むと、思わぬ傷を負うことになります。
クリスマスやお正月の準備に追われる幸せそうな家族を見るのが嫌だったら、
商業施設が混みあう前に買い物を済ませ、籠城する準備をするとよいと思います。

また、”幸せな家族”を強調するTVを見ていると辛くなってしまう可能性も大。
レンタルDVDを借りておいたり、自分にとって心地よい番組を録画して、この季節に備えるとよいと思います。

時間と予算が許すなら、海外に逃亡してしまうのも一案です。


2.家族が望む過ごし方を、あらかじめ聞いておく。

あなたが望む方法と家族が望む方法が大きく異なる可能性があります。
しかし、事前にお互いに素直な気持ちを話し合うことで、悲しい対立を避けることができます。

死別の悲しみへの対峙の方法は人それぞれです。
子供を亡くした夫婦の離婚率は高いと言われていますが、その原因は
「配偶者が死んでしまった子供への態度が自分とあまりに異なり許せなかったから」であることも少なくないのだそうです。

特別なイベントの当日に「家族と自分のスタンスが大きく異なる」ことが判明すると辛さも倍増。
事前に「クリスマスなんだけど、私は特別なことはしたくないんだ。」とか
「あえて例年通り祝いたい。ケーキもお供えしてあげたい。」など、
素直な気持ちを話し合い、調整できたらよいなと思います。


3.睡眠や食事のリズムを崩さないよう努力し、セルフケアを忘れない。

年末年始休暇は生活リズムが崩れがちになるものですが、
夜中まで起きていても、よいことはあまりありません。
きちんと寝て起きて日光に当たらないと、感情が安定しないものです(体験談)。

少しだけ頑張って、生活リズムを整えた方が、結果として心の安定を得られると思います。
ちょっとだけよい入浴剤を自分の為に買ったり、寝具を新調したりして、
この休暇の楽しみにしてはいかがでしょうか。



全ての遺族の方が、この年末年始をなんとか乗り越えられるよう祈ります。

2014年11月30日日曜日

手作業

喪中お見舞いのご注文が舞い込む季節になりました。

皆様にご愛顧していただいている碧香堂の「お悔やみのご挨拶状」サービスは、
店長かとうが一つ一つ印刷して封筒に入れ、お品物に同封してお届けしています。

備考欄に書いていただくフリーのメッセージはどれも心に沁みるもので、
今年も沢山の人が亡くなって、沢山の人が悲しみ、沢山の人が思いあっている、
ということを実感させられます。

死別とその痛みは、生きている以上避けられないことですが、
碧香堂の存在が少しでも慰めになればと思います。


皆様のお気持ちがきちんと遺族の方に届くよう、
包装技術にも気を配り、定期的にシモジマのラッピング講習会に参加してラッピングの技を磨いています。

今週はクリスマス特別ラッピング講座に参加し、様々な基本的な技を復習してきました。
斜め包み・合わせ包み・風呂敷包みを復習し、新しいリボンのテクニックを学びました。

周囲の方々から、
「事業を大きくするためには、いつまでも自分で梱包していてはだめだ」
「作業を委託することも考えなければ」
というアドバイスをいただくことも多いのですが、
包装と梱包作業は、この事業の意義をかみしめられる貴重な瞬間。

もうしばらくは、店長自ら心を込めて手作業で
印刷とラッピング、発送手続きを行いたいと考えています。

2014年11月25日火曜日

ANNA GRIFFINのカード(9)注文

お取引に至らなかったとあるキャンドルメーカーとの交渉のお話は終了。ようやくANNA GRIFFINの再登場です。

【今までのお話】
ANNA GRIFFINのカード(1)出会い
ANNA GRIFFINのカード(2)カタログをください
ANNA GRIFFINのカード(3)キャンドルメーカー
ANNA GRIFFINのカード(4)エレベータースピーチ
ANNA GRIFFINのカード(5)エレベータースピーチ2
ANNA GRIFFINのカード(6)作戦会議
ANNA GRIFFINのカード(7)英語プレゼン準備
ANNA GRIFFINのカード(8)商談

☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜

ぐっすり寝た翌日。私はANNA GRIFFINのブースへと出かけました。

今回の商談で私は「気に入った企業と取引していただけるのはそれだけで幸運」ということを学びました。

アトランタに滞在できるのはもう今日だけ。
カタログの入手にこだわっている場合ではありません。
注文を受け付けてもたえるのならば、注文してしまおう。
そう決めて、相変わらず華やかなブースに足を踏み入れます。

「はぁい、ガール!」
グラマラスな美女が私を快く迎えてくれます。

彼女をがっかりさせたくないので、私は最初に断ることにしました。
「こんにちは。私は今日、カードの注文に来ました。
どのカードも素敵なので迷ってしまうと思います。私に時間をください」

彼女はにっこり笑っておっしゃいます。
「ええ、どうぞ。好きなだけ時間を使ってちょうだい。でも、助けがいる時は声をかけてね」

さて、どうしたものか。
私にはバイヤーとしての経験がほとんどありません。自分の直感だけを頼りに選んでいきます。

まず、一目ぼれした黒のレースとリボンのカードを選びました。
これぞ、私が抱いていた「素敵な喪のギフトがあってもよいのではないか?」というテーマへの解だと思ったカードです。

次に、シンプルでかわいいエンボスカードを選びました。
デザインがとても私好みですし、お手頃価格なのでカード文化が根付いていない日本でも受入れられそうです。
4色のバリエーションがありましたが、喪のシーンにぴったりのグレーと、碧香堂のテーマカラーの紺色を選びます。

価格帯に幅があった方がよいでしょう。
もう1つ、リボンのついたゴージャスなカード達から1つ選びます。
素敵なデザインが多くて、悩みに悩みましたが、 アイボリーの幅広レースが印象的な四角いカードを選びました。
少し高価かもしれませんが、クオリティーを考えるとむしろコストパフォーマンスがよいと思ったからです。

今回は、はじめての取引なので、教科書通り最低注文価格での注文を狙います。
そうすると、円状のレースのこのカードがぴったり。
日本では見たことがない個性的なデザインですが、先般苦労してタイで入手したお花のろうそく箱入りギフト
雰囲気もぴったりあいます。

悩ましいのは、色のセレクト。
このカードには、ゴールド(金)、黒、灰色、アイボリーの4色がありました。
まずゴールドは除外するとして、黒か灰色かアイボリーか。
他とのバランスを考えるとアイボリーも悪くありません。
でもこの素敵なレース模様が引き立つのは黒。しかし黒は既に選んだ他のカードとイメージが重複します。
となると灰色もいいです。碧香堂は紺色の包装紙を使う予定なので、色が映えそう。
ショップスタッフの彼女に相談すると、「ネイビーにはこのグレーが合うわ」と断言されたので、
灰色にすることに決めました。

(と、文章にするとすんなり決まったようですが、実際には目移りしたり、計算し直したり、
てんやわんやでした。)

このブースは、ハンディ端末での注文。
ディスプレイに注文内容が表示され、確認できるのが安心でした。



そして帰国。
送料の確認を行い、いよいよ輸出していただくことになりました。
ドキドキしながら待つこと約10日間。

ようやくカードが届きました。
梱包は完璧。破損もありません。心配だったリボンもつぶれていませんし、
実物が確認できなかったエンボスカードの紺色もいい色合いです。

しかし5つ目のダンボール箱を開封した私は自分の目を疑ってしまいました。



これ、ゴールド・・・・。

色を間違えてしまうのは仕方のないことかもしれませんが、よりによってゴールドが届いてしまうとは。
私は急いでミプロの貿易アドバイザーに相談し、メールを出すことにしました。
「私はグリーフケアのギフトショップなのでゴールドは売れません。
注文した灰色に交換してください。在庫がないのならば、黒かアイボリーでも構いません」と。

その後すったもんだがあり、発送したと言われたのですが、その荷物がちっとも到着しなかったり、
紆余曲折ありましたが、なんとか私は注文通りの灰色のカードを入手することができました。

☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜

本日、他のカードに遅れて公開したのが、このANNA GRIFFIN レースサークルカード【グレー】です。
ケース入りの10枚セットもございます。

2014年11月20日木曜日

ひっそり暮らしたいという気持ち

今年の6月から、公的機関で経営相談のお仕事を始めた私。
「もっとSEとしての経歴をPRしたらよいのに!」
「講師として名前を売るチャンスなんだから、もっと積極的にマスコミに出ればよいのに!」
そう言っていただくことが増えました。

「どんな形であれ人前に出れば、碧香堂やグリーフケアギフトへの注目も集まるかもしれない」
そう考えようとするのですが、尻込みしてしまう自分がいました。
正直に言ってしまうと「それはごもっともなのですが、なんだか、気が進まないのです…」という状態です。

私は死別直後に、それまで普通の人だと思っていた人にひどく無神経な言葉を投げつけられてから、
対人恐怖症のようになったことがあります。
自分では克服したつもりなのだけれど、まだ恐怖心が残っているのかもしれない。
それとも私はまだいじけているのだろうか?

そんな風に自問自答していたある日、私と同時期に旦那様を亡くした経営者の方とお話しをする機会がありました。
その方は、私と同じような気持ちがあるとおっしゃいました。
「自分の名前や写真を自社ホームページに掲載するのさえ嫌だ」と。

そういえば私も、「ひっそり暮らしたい」と思って、ネットショップ運営の道を選んだのでした。

「ひっそりと暮らしたい」「目立つことは嫌だ」。
この気持ちは、手痛い死別を経験した方に共通する気持ちなのかもしれない。
ちょっとしたヒントをいただきました。


そのまた後日。お仕事で遠方のホテルを訪れました。
このホテルは、私がSE時代に最も大変だったプロジェクトの間泊まり込んでいたホテル。
遠い昔のことなのですが、ちょっぴり複雑なこのホテルの構造を覚えている自分がいたりして、
当時の張りつめた気持ちと忙しかった日々を、懐かしく思い出しました。
痛みと共に。

そうして私は、ようやく気づくことができました。

私は、SEとしてやり残したことがあり、未練があるのです。
産休前には、「出産後も続けられる仕事」を求めて社内で実績とコネクションをつくり、
「30代は何が何でも育児と仕事を両立させて見せる」と意気込んでいました。
それなのに、想定外の息子の病と闘病生活、そしてそのショックすぎる終わり方に、私はすっかり打ちのめされてしまいました。
息子の死別後、なんとか職場復帰はしたのですが、以前のように頑張れない自分に気づき、退職という道を選んでしまいました。

私にとって、SEとしてのキャリアを意識することは、息子との死別を思い起こすことにつながります。
だから私はSEとしてのキャリアを意識したり話したりすることが嫌だったのです。


PTSDの症状の一つに、「回避行動」と呼ばれるものがあります。
ショックを受けた出来事やそれを連想させる行動や物事を避けようとする心の働きです。

私にとって、SEとしての記憶をたぐることは、息子の死を連想させるので、
私はそれを回避していたのです。

謎が一つ解けました。

どうすれば克服できるのか、今はまだ分かりません。
けれど、このことに気づけたことは、私にとって大きな前進です。
今までに「自分の課題を認識さえしてしまえば、解決までは意外に早い」という体験を繰り返しているからです。
今度もきっと、いつか自分なりの解決方法にたどり着ける気がします。


そしていつかあの経営者の方に、この発見を伝える機会があればと思います。



参考:PTSDについて(厚生労働省のサイト)
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_ptsd.html

2014年11月12日水曜日

トップページの更新とセミナー講師

ようやく碧香堂メンテナンスの時間が確保できた先週。
トップページの改編に取り組みました。

グリーフケアギフトの碧香堂
(↑クリックで碧香堂TOPページへ飛びます)

「グリーフケアギフト」という聞きなれないコンセプトを理解していただくために
ギフトの使用シーンを中心にスライドショーで表現しました。


ショップページの作成に着手したばかりの1年半前。
創業仲間に紹介された「元・楽天ショップ運営アドバイザー」という方に
「使用シーンがわかる写真があった方がよい」とアドバイスをしていただきました。

しかし、商品撮影にも四苦八苦していたカメラ初心者の私。
あれから1年半後にようやくいただいたアドバイスを実現することができました。


そして、そんなアドバイスをしてくれた彼とは、今年の6月から同僚に。
同じ「愛知県よろず支援拠点」で、彼はEC、私はITの相談を担当しています。

そして、この度「ネットショップを始めてみよう」というセミナーで2人で講師を務めることになりました。
(↓クリックするとfacebookのセミナー告知ページに飛びます)

11月14日ネットショップの始め方

このセミナーはシリーズで、「もっとたくさん売ってみよう」という販売促進のクラスもあるのですが、
そちらの講師は今回は辞退。

今後は、胸を張ってどのようなセミナー講師も受けられるよう、
日々精進を続けたいと思います。
 

2014年11月6日木曜日

10月の出会い

講師として講演に呼んでいただいたり、セミナーを開催したり。
10月は、人前に立つお仕事が続きました。

創業の動機を話す時以外は、活き活きと働いていた以前の自分のよう。

けれど、私にとって10月は、待望の退院を待ちわびながら、お礼と記念のお菓子を入院仲間に配った
想い出深い季節でもあります。

10か月におよぶ入院生活からの卒業が近づいてきたのは、7年前の10月の中旬。
ハロウィンの季節だったので、ハロウィン柄の袋にお菓子を入れて、入院仲間に配りました。
入院中は季節感が薄れてしまうので、季節の行事は大切で喜ばれるのです。

講演という慣れないお仕事に緊張し、気持ちが張りつめていても、
通勤途中にハロウィンの飾りつけを見かけると、即座にあの頃のことが思い出されます。

周囲の方にとっては、「7年も前の昔のこと」なのでしょうが、私にとっては、つい先日のことのよう。

最近「すっかり元気になったようでよかった」と言っていただくことが多いのですが、
私の実感は「変わってしまった自分をなんとか隠すことができるようになった」というところです。


そんな中、先日私と同じ時期に大切な家族を喪った方と出会うことができました。
その方も同じ想い感じているのだそう。

当事者としての想いを対面で分かち合えるのは貴重な機会。
病院の同窓会に参加できずにいる私にとっては、初めてのことです。

大勢の人と出会うお仕事は緊張を伴いますが、時にはこんなご褒美もあるのだと嬉しくなりました。


そしてまた、息子と同じ病気を克服して、起業を目指して頑張っておられる青年にも
出会うことができました。
彼はご両親から病気のことをほとんど聞かされていないのだそうですが、
私は勝手に勇気づけられてしまいました。


思いがけず履くことになった二足のわらじ。
体力的にも精神的にもキツイなーと感じることもしばしば。

ですが、二足目のわらじのおかげで、このような貴重な出会いに恵まれました。

大変だったけれど、頑張ってよかった。
そして、やはりグリーフケアギフト事業も頑張ろう、と思えた出会いでした。

2014年10月31日金曜日

通販ソリューション展

EC業界のはしくれに位置する者として以前から気になっていた「通販ソリューション展」。
Japan IT Weekとして開催される7つの展示会のうちの1つです。

某商工会様のスマホアプリ研究会アドバイザーとしてのお仕事で、この展示会に同行する機会があり、
空き時間を利用して通販ソリューション展も視察することができました。

感想は、「う、なんかギラギラしている・・・」。
弱肉強食と言うより、「よくわかってない奴からお金をぶんどってやろう」的なノリも見え隠れ。
改めてIT業界とEC業界の違いを実感しました。

ITがInformation technology(インフォメーション・テクノロジー)=情報技術であるのに対し、
ECはElectronic commerce(エレクトリック・コマース)=電子商取引
技術ではなく商売の世界なのだと強く感じました。

今や百貨店よりも大きな売り上げがあるEC業界。
様々な会社が様々なサービスを提供しています。
株式会社Ryo-Maさんがくださった「ECのミカタ通信」という冊子の「EC業界関連図」が今後研究の役に立ちそうだと思いました。
http://ecnomikata.com/diagram/ のリンク先でその「相関図」を見ることができます。

ちなみに会場は幕張メッセ。
幕張は、私が新人社員時代に研修で半年間滞在した街。

新人研修の一環で、幕張メッセで行われていた「ネットワークコンピューティング展」を見学してレポートを書くという課題がありました。
私は「デジタルデバイト」をテーマに熱いレポートを書き、それを読んだ指導教官(ベテラン女性SE)に
「あなたには熱意も才能もありそうだけれど、SEという仕事にやりがいを感じられるのかちょっと心配」
と言われたのでした。

彼女の予言はある意味当たったのかも。

いろいろな意味で、時代の流れを感じた一日でした。

2014年10月24日金曜日

ゴールドリボン

先週の日曜日。
豊川商工会議所様の創業塾で、創業体験をお話してきました。

与えられた時間は90分+質疑応答30分。
事前にお送りした当日配布資料は、事業計画書と創業年表、そしてお役立ちデータ集。
当日上映資料には、創業の経緯を写真で紹介するページを追加しました。

過去の写真を整頓していて、やはり息子のことは避けられないと判断。
経緯の最初のページ入院中の写真と、病名を掲載することにしました。
勇気が必要でしたが、入院中の写真にはなつかしいみんなが元気よく遊んでいる姿もあって。

久しぶりにひらいたこの写真フォルダには、楽しかった思い出ばかりがつまっていて、
写真を選ぶことは、覚悟していたよりは辛くありませんでした。


前日深夜まであわただしく準備をし、当日。

スーツは、見本市で愛用していたものを選択。
「写真で紹介した事柄が、本当に私が行ったことなのだ」と実感していただけるかも?
とたくらんで。

胸元にはゴールドリボンバッジを付けました。
「がんの子供を守る会」のシンボルです。

グリーフケアギフトでの創業を志した時、
「いつかマスコミに出たり講演したりする機会ができたら
これを身に付けよう。そして聞かれたらこの会のことを説明しよう」
とひそかに心に決めていました。

あいにく当日は、病院の写真を表示して病名を口にすることに緊張してしまい、
バッジの説明ができたか否か定かではありません。

けれど、受講生の皆様は私の話を温かく受け入れて、聞き入ってくださいました。


講演終了後は、受講生の皆様との懇親会に誘われ宴席へ。
様々な質問を受けながら楽しくおしゃべりし、帰路につきました。

最近、碧香堂事業に時間を割くことが難しく、もどかしく思っていたのですが、
今回このような機会をいただいて、改めて「死別後頑張ってきた自分」を
認めることができました。


直感で私の採用を決めてくださった所長様には本当に感謝。

受講生の皆様のLINEグル―プに加えていただいたので、
様々な情報を提供し、皆様の創業をお手伝いできたらと思います。


がんの子供を守る会:http://www.ccaj-found.or.jp/

2014年10月16日木曜日

豊川商工会議所 創業塾とよかわ2014 受講者の皆様へ

2014年10月19日にお話しさせていただく、豊川商工会議所様の「創業塾とよかわ2014」で使う資料の一部です。

URLリンクは紙媒体でもらっても・・・と思い、ここにリンク集をご用意させていただきました。
ご活用いただければと思います。


1.事業の概要
碧香堂 http://griefcaregift.com
ショップブログ http://blog.griefcaregift.com このページです
facebookページ http://www.facebook.com/OfficeWanibe
お客様の声 http://blog.griefcaregift.com/?cid=29480
事例紹介(J-Net21) http://j-net21.smrj.go.jp/establish/sougyouhojyo/jirei.html


2.創業の軌跡

海外社会人インターン http://intern.hidajapan.or.jp
あいち産業振興機構創業道場 http://www.aibsc.jp/tabid/147/Default.aspx
ミプロ http://www.mipro.or.jp
東京ギフトショー http://www.giftshow.co.jp/tigs/79tigs/index.htm
ててて見本市 http://tetete.jp/trade/
創業補助金 http://www.smrj.go.jp/utility/offer/075939.html 
愛知県よろず支援拠点 https://www.facebook.com/aichi.yorozu


3.これから創業をされる皆様へ

<開業手続き>
豊橋税務署 https://www.nta.go.jp/nagoya/guide/zeimusho/aichi/toyohashi/index.htm
様式 http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm

< 確定申告>
やよいの青色申告 http://www.yayoi-kk.co.jp/products/aoiro/
弥生会計 http://www.yayoi-kk.co.jp/products/account/

< 商標&ドメイン>
IPDL特許電子図書 http://www.ipdl.inpit.go.jp/homepg.ipdl
お名前.com http://www.onamae.com/

< ネットサービス>
無料ホームページ Jimdo http://jp.jimdo.com/
BASE https://thebase.in/
STORES.jp https://stores.jp/
Yahoo!ショッピング http://business.ec.yahoo.co.jp/shopping/
上記を解説する無料セミナー http://www.aibsc.jp/tabid/373/Default.aspx

< クラウドソーシング>
ランサーズ http://www.lancers.jp/
クラウドワークス http://crowdworks.jp/

< テンプレート>
アスクル(パワーポイントのテンプレート)https://spc.askul.co.jp/showin/pp2010_index.html
Microsoft Office http://www.microsoft.com/ja-jp/office/pipc/default.aspx?navIndex=6
         http://office.microsoft.com/ja-jp/images/results.aspx?qu=%E4%BA%BA&ex=1

< ネット専業印刷会社>
アスクルスピードプリントセンター https://spc.askul.co.jp/
グラフィック http://www.graphic.jp/
キングプリンターズ http://kingprinters.com/
イロドリ http://www.iro-dori.net/
プリントパック http://www.printpac.co.jp/
東京カラー印刷 http://www.tcpc.co.jp/
マヒトデザイン http://mhtdesign.net/

< 写真素材サイト>
PAKUTASO - ぱくたそ http://www.pakutaso.com/
写真素材 足成 http://www.ashinari.com/
モデルピース http://www.modelpiece.com/ 
フォトスク http://photosku.com/
ソザイング http://sozaing.com/
写真AC http://www.photo-ac.com/

< 公的支援>
創業補助金 http://www.aibsc.jp/tabid/404/Default.aspx
小規模事業者持続化補助金 http://www.jizokukahojokin.info/
中小庁のサービスポータルサイトhttps://www.mirasapo.jp/index.html
施策マップ一覧表示がおすすめ https://www.mirasapo.jp/measure_map/index.html
あいち産業振興機構 http://www.aibsc.jp/joho/001_mail.html
愛知県よろず支援拠点のFBページ https://www.facebook.com/aichi.yorozu



皆様の健闘をお祈りします。
迷ったり困ったりしたら、よろず支援拠点へご相談ください。

2014年10月6日月曜日

通りすがりのアドバイザー

アトランタで見つけた素敵なキャンドル。

参考:過去の記事
ANNA GRIFFINのカード(3)キャンドルメーカー
ANNA GRIFFINのカード(4)エレベータースピーチ
ANNA GRIFFINのカード(5)エレベータースピーチ2
ANNA GRIFFINのカード(6)作戦会議
ANNA GRIFFINのカード(7)英語プレゼン準備
ANNA GRIFFINのカード(8)商談

強引な自己PRでオーナーとの会談にこぎつけた私でしたが、
「イギリスの代理店を通して買ってくれ」
と、直接取引を断られてしまいました。

帰国後、イギリスの代理店にメールをしてみましたが、
返事がありません。

ジェトロに相談に行くと「どんな魅力的な商品でも、相手があなたと取引したいと思ってくれないと取引は成立しない。
そんな失礼な態度をとる会社と取引をしても何も良いよいことはない」
とアドバイスされてしました。

その後、東京ギフトショーに参加して、国内のメーカーとも商談しましたが
「実店舗のないネットショップのみの会社とはお取引できません」
と断られること多数でした。

「買いたい」と言い、お金さえ支払えば売ってもらえるものだとばかり思っていた私。
どうらやこの業界では、そうではないようです。
どうしたものか。

そんな風に悩んでいた時、友人がお気に入りの飲み屋さんに連れて行ってくれました。
美味しいお魚を堪能していると、たまたま隣の席に居合わせた常連さんに
話しかけられ、友人に「私の友達です。彼女、起業準備中なんですよ」と紹介されました。

なんでもその常連さんは起業して7年。
様々な事業を試した挙句今はエステの会社を運営しているのだそうです。

聞かれるままにアトランタでの顛末をお話しすると、
「僕だったら最低注文金額を聞いて、半年時間をくれと言う。
そしてその半年間で買い手を見つけて輸入する」
と言われました。

なるほど。契約を成立させるには、そういう方法がベストなのでしょう。
商売に向いている人の発想はこうなんだ、と目から鱗でした。

けれど私はそんなリスクまでとって、大口の取引を成立させたいのではありません。
遺族の方がもらって心が慰められるような「グリーフケアギフト」の習慣を
日本に根付かせることが私の目標です。


そしてその1か月後、私は成田のタリーズで見知らぬ外国人と同席になりました。

お互い「このテーブルは空いていたと思っていたのに、先客がいた」みたいな状況。
譲り合った挙句、シェアすることになりました。
「なんだか気まずいなー」と思って「どこから来ましたか?」と話しかけたところ、
彼はシンガポールに住むアメリカ人とのことでした。

「奥さんはシンガポールの人なの?」と聞いたら
「いいやアトランタの出身だ」とのこと。
「あら、私先月アトランタへ行ったばかりなのよ」と答えたところ、
大変驚かれ「アトランタへ?!何をしに?」と言われてしまいました。


 ”余談ですが。
  アトランタってそんなにマイナーな都市なのでしょうか。
  デトロイトでの入国審査で「アトランタへ行く」と答えたところ
  「アトランタ?何をしに?!」と審査官にいぶかしげに聞かれたのでした。”


コーヒーを飲みながら今までのいきさつを話したところ、彼は次のように話してくれました。

「流通業界は、君のいたIT業界とは異なる性質を持っている。
力のあるメーカーほど、取引先に格を求める。
IT業界では、スキルさえあればどんな大企業とでも取引できるのだろう?
ところが流通業界ではそうではない。
よい品を扱いたければ、よい企業になることだね。
よい企業と言うのは、沢山売れる企業ではない。
客層がよい企業という意味だ。
魅力的な企業になれば、今度は逆に取引先から売り込みがくるようになるよ」

そんな彼は、某有名デューティーフリーの店長で、
本社での店長会議に呼ばれ、その帰り道なのだそうです。

彼がコーヒーを飲み終わる前にアナウンスが入り、
「僕の搭乗の時間だ。話せてよかった。君のビジネスの成功を祈るよ」と言うと、
タリーズのコーヒーを片手に去って行きました。


なるほど。私のいたIT業界でエンジニアに求められていたのはスキル。
けれど流通業界でバイヤーに求められるのは別のもの。
それが何かは分からないけれど、今の私にはチャンスを捕まえることはできても
契約に結び付けれなかったのは、その何かが足りないからなのでしょう。


こうして私は、偶然テーブルで隣り合わせた2人の商売人から、商売のヒントを得たのです。

☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜

何故私が成田空港にいたのかというと、韓国に例のキャンドルメーカーの代理店を視察に行く途中だったから。

次回はそのお話をお届けします。

2014年9月30日火曜日

ANNA GRIFFINのカード(8)商談

お取引に至らなかった、とあるキャンドルメーカーとの交渉のお話その6です。

【今までのお話】
ANNA GRIFFINのカード(1)出会い
ANNA GRIFFINのカード(2)カタログをください
ANNA GRIFFINのカード(3)キャンドルメーカー
ANNA GRIFFINのカード(4)エレベータースピーチ
ANNA GRIFFINのカード(5)エレベータースピーチ2
ANNA GRIFFINのカード(6)作戦会議
ANNA GRIFFINのカード(7)英語プレゼン準備

☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜

ミプロのミーティングが始まりました。
ミプロはの正式名称は一般財団法人 対日貿易投資交流促進協会。
小口輸入をサポートする公的な組織です。

ミプロは、商売をされている法人を対象に海外の見本市へのツアーを開催しています。
職員の方に「個人の参加は難しいのでしょうか」と相談したところ
「過去には個人でも参加した方がいるので、申し込んでみては?」と言われ、
私は様々な書類を作成し、参加権をゲットしたのでした。

【参考】ミプロHP:http://www.mipro.or.jp
※このツアーは例年行われる予定です。詳細発表は11月頃の様子。


ツアーは現地集合・現地解散ですが、
見本市主催団体から、隣接するホテルに3泊分の無料宿泊のプレゼントがあります。
そして、ミプロの貿易アドバイザーさんが商談に同行してくださるという、初心者に嬉しい特権があります。

超初心者の私は、バンコクでの見本市での経験から、
3日間では商品を見極めを行うことができないと判断し。
個人的にツアー開催の5日も前から会場入りしてこの日に備えてきました。

ミーティングは、代表のあいさつと注意事項・商談の進め方と参加者の自己紹介が主なアジェンダでした。
参加者は1人あたり2回、貿易アドバイザーさんの商談同行サービスが利用できると説明がありました。
既に商談希望日時が決まっている私は、早速「今日の午前と午後2時」のアテンドを予約しました。
明日はもう同行してもらえなくてもいい!と割り切ります。

午前中は、もう1つ気になっている商品がある会社との商談に宛て、例のキャンドルメーカーを下見。
そして約束の午後2時。

私は、お昼ごはんもバイヤーラウンジで振る舞われる軽食で済ませ、
ぎりぎりまで修正したプレゼン書類を持って、あのキャンドル会社のブースへ向かいました。
緊張しますが、経験豊富な貿易アドバイザーさんが一緒なので心強いです。

既に、ブースのテーブルには、昨日会ったイケメンオーナーとセールスマネージャーが着席していました。
書類を広げ、何やら数値を書き込みながら話し合っていました。忙しそうです。

先方2名・当方2名の合計4名で挨拶を交わしながら、
さっそく貿易アドバイザーさんが今回のミプロツアーについて説明してくださいました。

「我々は公益団体で、今回はアメリカ大使館商務部の招待でアトランタに来ている。
Ms.Katoは特別に審査を通過した有望な起業家である」とさりげなくPRしてくださいます。

最初に態度が変わったのはセールスマネージャーでした。
彼は、瞬時に貿易アドバイザーさんの英語力と経験値を見ぬき、私を無視して会話を始めます。
手短に、商品と会社の概要を説明し、すぐに取引条件に話題が移動します。

展開が早い。
これがプロ同士のスピードなのでしょう。

私は商談主として、ぼーっと成り行きを見守っている訳にいきません。
おいてきぼりをくらった格好のオーナーに、持参した資料をお見せします。

1枚目の資料のタイトルは「御社の物流の最適化を提案します」。

世界地図に、キャンドルメーカーの本社工場・アメリカ某州、イギリスの代理店の場所、そして私の名古屋をポイント。
それぞれのポイントの間を曲線でつなぎ、所用マイルが付け加えました。

ネットを使って、各ポイントの住所まで調べたので、おざなりな地図ではないことが分かります。
また、地図は日本式の太平洋を中心とした地図を選んだので、
アメリカ人にとっては普段とは異なる視点で世界を見ることになるよう工夫してあります。

貿易アドバイザーさんがセールスマネージャーに「彼女の為に、特別に直接取引してくれないか」と言ったところ、
セールスマネージャーが顔色を変えてまくしたてはじめました。
「既にある契約は変えられない。オーストラリアだって韓国だってイギリスの代理店を通じて取引してもらっている。
我々は南北アメリカ内の取引に集中することでグループの結束を図ることを優先しているのだ」
というようなことを話しています。

半分は聞き取れていないと思いますが「コントラクト(契約)は絶対だ」という単語は確かに聞き取れました。

まだ私が何も話していないのに、会話が白熱しすぎています。
当事者として介入のタイミングです。何か言わなくちゃ。

私は「ちょっとまってください」と言いかけましたが、英語を組み立てているうちに一瞬言葉が詰まりました。

その時、思わぬ援護者が現れました。

私の資料を意外な様子で見ていたオーナーが私の様子に気づき、沈黙を破って
「彼女の主張はちょっと違うみたいだよ」と声をかけてくれたのです。

セールスマネージャーと貿易マネージャーさんがはっと黙り、こちらに視線を送ります。
会話の主導権をつかむチャンスです。

私は資料をセールスマネージャーにも渡しながら、流れを離さないように話し続けます。
「私は商流でなく、物流についてお話をしたいです。
この地図のように、御社から日本へは直接輸送した方が効率がよいはずです。
既にある契約を変えることが難しいのは知っています。
私は13年間IBMで働いてきたので、アメリカ社会における契約の重要性を理解しています」

セールスマネージャーが「フン」と私を一瞥し何か言いかけたのを遮って、
オーナーがゆっくりと私に説明しました。

「あなたの言うことはもっともだが、実際に今我々が日本へ輸出するとなると、
輸用会社の契約により、サンフランシスコを通さなければならない。
本社工場のある州からサンフランシスコまでの距離と、
ロンドンへの距離はあまり変わらないのです」

は?サンフランシスコ??
いきなりサンフランシスコと言われても、ゴールデンゲートブリッジとナパバレーと、
チャイナタウンの飲茶しか思い浮かびません。

理解できない私を察知した貿易アドバイザーさんが、すかさずオーナーに聞き返します。
私にも分かるように簡単でゆっくりとした英語です。

「サンフランシスコですか。それは船便だからでしょうか?
なるほど。なるほど。ご契約されている運送会社との取り決めですね。

しかし契約を変えることは難しくても、彼女が主張する物流だけを変えるという提案は
考える余地があるのではないでしょうか。
あなた方も御存知の通り、商売を始めるというのは様々な困難があります。
ビジネスをはじめたばかりの人間にとって輸送コストは大きな問題です。
はるばる日本から来た彼女に、チャンスをあげてみませんか?」

オーナーは頬杖をついて何か考えているようでした。
セールスマネージャーは成り行きを見守っています。表情は相変わらず不服そうですが。

私も必死で言い添えます。
「韓国やオーストラリアの販売会社もそれを望んでいるのではないでしょうか。
我々のビジネスだけでなく、エコロジーのためにも」

実際には昨夜、一生懸命辞書をひきながら考えぬいたセリフですが、
当意即妙に受け答えしたように聞こえます。

「エコロジー?」とオーナーとマネージャーが聞き返します。
「エコロジカル、環境」貿易アドバイザーさんが補足し、
私はあわてて「グリーントレードだ。未来の為にも環境のことを考えないと」付け加えます。

「エコロジーか。なるほど」
オーナーが笑みをこぼしました。

あら、ちょっと付け焼刃がばれちゃったかしら。

場の空気がほころんだ直後、オーナーが笑顔のまま切り込んできました。

「2トン。

では、2トンでどうでしょうか。
2トン購入できるなら、あなたの提案を受け入れます」

オーナーは頬杖をついてあごのしたで手を組みじっと私を見つめています。
私の表情のどんな変化も見逃さないようにしているのでしょう。

しかし私は「2トン」という言葉を聞いた途端、途方にくれてしまいました。

2トン・・・・?
2トンてどれだけの量なんだろう。
重さは分かるけど、体積は?
あ、2トントラックくらいの大きさなのかな・・・?

私には、かろうじて状況を把握するだけの分別が残っていました。
表情を変えないよう、頑張って涼しいまま顔のまま「1分ください」と英語で言った後、

日本語に切り替えて貿易アドバイザーさんと内緒話です。

「2トンて一体いくらくらいなんでしょう」
「さあ。でも金額じゃなくてハンドリングの問題だよ。買っても売れないのでは?」
「資金はありますが、保管する場所がありません」
「最初の取引での無理は禁物です。冷静に」
「そうですよね」

そして改めて表情をつくり、オーナーに向かって言いました。
「私は、2トンは買えません。今は」
かろうじて「今は」を付け加えるのが、精一杯の虚勢です。

オーナーは微笑を残したまま眉の両端をわずかに下げ、残念そうに言いました。
「分かった。じゃあ仕方ない。
イギリスのリチャードと交渉してくれ」

セールスマネージャーはシニカルに笑いながらちゃっちゃと書類を片付け始めます。
「はい、終了!」とばかりに張り切って。


ちょっとまって!

私の本題が残っています。

私は「もうちょっとだけ待って」と言いながら、慌てて
1枚目の資料をめくって2枚目の資料を見せました。

2枚目の資料は「私をリチャードに推薦してください」というタイトルで、
「取引への想いと、連絡先」が書いてあります。

さっと目を通したオーナーがにやりと笑いました。
「こいつは最初からこれが目的だったのか」と理解したようです。
英語の資料を用意しておいてよかった。
口頭だと1分はかかるところを、資料を見せるだけなら数秒で済みます。

「OK,わかりました。
リチャードに連絡しておきましょう」


切り上げのタイミングです。

私は席を立ち、オーナーに握手を求めながら言いました。
「チャンスをくれてありがとうございます。
数年後には直接取引していただけるよう頑張ります」

貿易アドバイザーさんが付け加えます
「代理店の方に彼女が有望な起業家であることを言い添えてくださいね」
と。


私たちは握手をかわし、ブースを去りました。

広いアメリカズマートの中を歩いて、バイヤーズラウンジに戻ります。
貿易アドバイザーさんは、この後すぐに他の参加者の方の商談に同行される予定になっています。

ラウンジに戻った私は、改めて貿易アドバイザーさんにお礼を言い、
次の商談に向かう一団を見送りました。

私はドリンクコーナーにあったホットチョコレートで一息つくことにしました。
休憩コーナーのゴージャスなソファーに腰をおろし、ゆっくりと暖かいチョコレートドリンクを
口に含みます。

・・・・美味しい。

甘いカカオの香りが、私の高ぶった神経を和らげてくれました。

「とりあえず、今の自分にできることは全てやった」

そう思った瞬間、どっと疲れが押し寄せてきました。


☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜


続きます。

写真はツアー最終日の記念撮影。
貿易アドバイザーさんとバイヤーズラウンジにて。

2014年9月25日木曜日

ANNA GRIFFINのカード(7)英語プレゼン準備

お取引に至らなかった、とあるキャンドルメーカーとの交渉のお話その5です。

【今までのお話】
ANNA GRIFFINのカード(1)出会い
ANNA GRIFFINのカード(2)カタログをください
ANNA GRIFFINのカード(3)キャンドルメーカー
ANNA GRIFFINのカード(4)エレベータースピーチ
ANNA GRIFFINのカード(5)エレベータースピーチ2
ANNA GRIFFINのカード(6)作戦会議

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3時間だけ仮眠をとることに決めた私は、しっかり目覚ましをセットして眠りにつきました。
自分のiPhoneとホテルの部屋にある時計、そしてモーニングコールサービス。
時差を確認しながら慎重にアラームをセットしました。

言うべきことは決めました。
プレゼンテーションと交渉は元々得意です。
あとはお肌の調子を整え、元気はつらつと行けばOKでしょう。

連日の疲れもあってすぐに眠りに落ちたはすなのですが、
目覚ましが鳴る前にはっと目が覚めました。

「あれ、”輸入ルートを再考してほしい”って英語でどうやって言うんだろう?!」
そうです。私は日本語で話すべきことは決めていましたが、
それを英語でなんと表現するべきか調べていませんでした。

パジャマのまま、iPhoneの辞書アプリを片手に、分からない単語を調べながら
「英語で何というべきか」を書いていきます。
お部屋に備え付けてあった、ホテルの便せんの余白が少なくなってきてしまいました。

能率が悪いこと仕方ありません。
そしてやはやり口頭では効果的にPRできる自信がありません。
自分の得意分野を活かすという意味でも、プレゼン資料を作る必要があるでしょう。

インターナショナルバイヤーラウンジに行こうと思いました。
あそこには、パソコンとコピー機、そして簡単な文房具が用意してあり、
各国のバイヤーが自由に使えるようになっています。
そして朝ごはんのサービスもあります。

空腹できりきりと胃が痛みだしました。
私は日本から持ってきた梅のど飴でごまかしながら、
「ラウンジが開くと同時に飛び込んで、プレゼン資料を作ろう。
そして朝ごはんもあそこでいただこう」
私はそう心に決めました。


朝8時45分。ラウンジの前で待っている私を見つけて担当者が驚きます。

”グッドモーニング。今日はまた早いのね!”
”おはよう。ラウンジのパソコンを使って書類をつくりたいの”
”いいけど、ここのパソコンでは日本語が使えないわよ”

思った通り、ここのパソコンには英語環境しかないようです。
しかし私は腐っても元SE(システムズエンジニア)。
英語Windowsは何度も使ったことがあります。

幸いMS-Officeが入っていました。
私はコーヒーと謎のホットサンドの朝食を食べながら、
3枚のプレゼン資料を作りました。


1枚目は表紙とアジェンダ。私の連絡先もさりげなく記します。


そして、2枚目には輸入ルートの件。
物流の最適化(optimization)というタイトルです。

私は、卸売・小売り業界の言葉はよく知らないのですが、
optimizerはIT用語として知っていました。
データベースのアクセス最適化を行う機能をoptimizerと呼ぶのです。

商流(契約の流れ)は変えられなくても、物流(モノの流れ)は変えれるし、
そうした方があなたの会社の為であると書きました。

アメリカから直接日本まで運んだ場合と、アメリカからイギリスを経由して日本まで運んだ場合のマイルを調べ、具体的な数値で記しました。

英語環境のパソコンでは検索が困難です。
iPhoneでJTBのサイトにアクセスし、飛行機ルートを検索することでマイル数を調べました。


3枚目には「私をイギリスの代理店のD氏に推薦してくれ」と書きました。

ミーティングの結論であり目的です。
細かい条件をとやかく話し合うことになっても、私は対応できません。
私のビジネスの準備状況と、貴重な「オーナーとの直接対談」の機会を得た
というアンバランスな2つの状況を考えて、この結論が最適だと判断しました。
この申し出にYesと言ってもらうことが本日のアポイントの目標です。


必死で書類を作っていて、ふと気が付くと、ラウンジに日本人が大勢いました。

そろそろミプロ御一行様の集合時間です。

☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜


ANNA GRIFFINのカード(8)商談へ続きます。

ホテルのお部屋。
この机で一生懸命資料を作りました。

2014年9月18日木曜日

ANNA GRIFFINのカード(6)作戦会議

お取引に至らなかった、とあるキャンドルメーカーとの交渉のお話その4です。

【今までのお話】
ANNA GRIFFINのカード(1)出会い
ANNA GRIFFINのカード(2)カタログをください
ANNA GRIFFINのカード(3)キャンドルメーカー
ANNA GRIFFINのカード(4)エレベータースピーチ
ANNA GRIFFINのカード(5)エレベータースピーチ2

☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜

Bobのブースを後にした私は、カード会社のブースに立ち寄り
会場近くのコンビニエンスストアでバナナと野菜ジュースを買ってホテルに戻りました。

まずはシャワーを浴びて心を落ち着けた後、明日の午後2時までの作戦を練りました。

時刻は夜の9時。
明日は、朝10時に外国人バイヤー向けのサロンに集合し、ミプロの買い付けツアーのミーティングがあります。
タイムリミットまであと11時間。
今夜は多少睡眠不足になっても、明日の商談に向けて全力でシナリオを練るべきでしょう。

私はまず、いただいたカタログを読み込んで商談相手の会社について知ることにしました。
カード会社の男性スタッフとその恋人(?)の男性から
「このオーナーはゲイに違いない」という通常では得難い情報を得た私ですが、
英語の読解力はイマイチ。
「パソコンを持ってきていれば、翻訳ソフトが使えたのに」と後悔しながら、
iPhoneの辞書を片手に分厚いカタログを読んでいきます。

分厚いカタログに目を通し終えた時、時刻は夜の11時半になっていました。
学生時代、リーダーの授業をさぼっていた自分を呪います。

カタログを読んだ結果、
・どうやらこの会社は現オーナーが一人で作り上げたも同然らしい。
・販売店やパートナー企業への気配りを欠かさない。
・重厚な表現を好み、伝統ある企業のように振る舞うことを好む。
という傾向が分かりました。

空腹を覚えた私は、日本から持ってきた非常食とバナナと野菜ジュースで夕食を取りながら考えました。

このような傾向を持つ企業が、私のような起業前の個人と取引をしてくださるとは思えません。

今の私が仕入れに出せる金額は、最大で100万円。
しかし、いきなり1企業との取引に全額をつぎ込むのは危険です。

それに、そもそも仕入れたとしても、そのキャンドルをどこに保管するのか?!

いただいたサンプルを元に、10万円分購入した場合の容量を計算してみましたが、現在の自宅ではとても保管できません。
実家に泣き付けばなんとかなるかもしれませんが、保管状態が心配になります。
そして何より、私はそれだけの量のキャンドルを売りさばく自信がありません。

コーヒーメーカーでお湯を沸かし、ハーブティーで心を落ち着けます。

この会社の「ストーリーを持ったキャンドル」は私のグリーフケア事業にぴったりで魅力的ですが、
自分のこのような準備状態で、明日具体的な金額の話をするのは得策ではないでしょう。
断られておしまいです。

ううーむ。

私はデスクを離れてベッドに横になりました。
天井を見ながら考えます。

せっかくオーナーとの直接対談という貴重な機会を得たのです。
取引を成立させるのは無理だとしても、何か印象は残したい。

バイヤーとしては未熟なのですから、自分の得意分野で潜在能力をアピールするしかありません。

私の脳裏に浮かんだのは、かつて所属していた会社の営業さん達の姿でした。

そうだ、プレゼンをしよう。

日本人バイヤーから見た取引条件の問題点を指摘し、相手に対して有益情報を与えよう。
明日は、取引相手として切り捨てられないことを目標にしよう。

そう決めました。

ベッドから起き上がった私は、主張したいことを箇条書きにしてリストアップしました。
ノートも持ってこなかったので、ホテルの部屋に置いてあった便箋といらなくなったリーフレットの裏を使って考えをまとめました。

与えられた時間は20分。
ところどころ通訳を頼まざるを得ない状況を考えると
言いたいことは2つ程度にに絞るべきでしょう。

考え抜いた結果、この2つをキーメッセージにすることにしました。
・アメリカからイギリスを経由して日本に輸入するのは効率が悪い。
・英国代理店の代表に私を推薦してくれ。


ここまで決めたら、時刻はもう午前2時。
睡魔が襲ってきたので、私は3時間だけ仮眠を取ることにしました。

☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜

ANNA GRIFFINのカード(7)英語プレゼン準備へ続きます。

2014年9月11日木曜日

ANNA GRIFFINのカード(5)エレベータースピーチ2

久しぶりになってしまいましたが、創業物語の続きです。
お取引に至らなかった、とあるキャンドルメーカーとの交渉のお話その3です。

【今までのお話】
ANNA GRIFFINのカード(1)出会い
ANNA GRIFFINのカード(2)カタログをください
ANNA GRIFFINのカード(3)キャンドルメーカー
ANNA GRIFFINのカード(4)エレベータースピーチ

☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜

オーナーはまだあどけなさの抜けない顔をしていて、
でも目だけは冷静に私を見ています。

与えられた、というよりもぎ取った時間は1分。
この時間で、商談の交渉をすることはできません。
印象を残して「こいつの話を聞いてみよう」と思わせることが私の目標です。

アメリカ人から見ると、日本人は若く見えると言います。
彼はきっと私を同世代の女性だと思っていることでしょう。

私は、この自分のギャップと過去のキャリアを使うことにしました。

”私は日本から来ました。昨年起業したばかりです。
私は2年前までIBMでシステムエンジニアとして働いていました。
息子を小児がんで亡くしました。そして、喪のギフトを改革したいと考えています。”

ここまで話すと、彼はびっくりして
Oh that's too bad. I'm sorry to hear that.
と言いました。私は構わず続けます。
だって私には1分間しか時間がないのです。

”日本では、毎日仏壇に線香とろうそくを供える習慣があり、
遺族にお線香を贈る伝統的な習慣があります。

しかしこれは現在のライフスタイルにマッチしていない。
私はグリーフケアができる遺族の個性にあったギフトを
あなたのろうそくは、日本人の好みに合っていて
モダンで、香りにストーリーがあります。

私は息子を亡くした時、あなたのろうそくをギフトとして受け取りたかった。
だから私は日本にあなたのろうそくを輸入したいのです。

しかし、いくつか困難があると聞かされました。
詳しくお話をする時間をいただけないでしょうか。”

言いたいことはたくさんありますが、そろそろ1分のはずです。
自分のビジネス能力をプレゼンテーションするという意味でもそろそろ切り上げなければなりません。

彼は時計を見ながら言いました。
「申し訳ないけれど、今日はこれからディナーの約束がある。
明日の午後にしてもらえないだろうか」

明日。明日なら、日本からミプロの貿易アドバイザーさんがやってきて
午後には商談のサポートをしてくださるはずです。

「ありがとうございます。明日の午後2時はいかがでしょうか」
「いいですよ。では明日の午後2時に」
「お時間くださってありがとうございます」
私たちは再び握手をして別れることになりました。

忙しそうに去っていく彼を見送りながら、私はしばし呆然としてしまいました。

そんな私を我に戻したのは、タンパから来ている彼です。
どんっと私の肩をたたきました。
「やったな。お前、すごいな!!」
百戦錬磨のように見えた彼も興奮しているようで、言葉遣いが乱れています。

「私、アポイントをとったよね」
「ああ、明日午後2時だと確かに約束したぞ。
明日俺はいないが大丈夫か?」
「うん、明日なら私の輸入アドバイザーが日本から来てくれるの」

いつのまにか騒ぎを聞きつけてブース中のスタッフが集まってきます。
最低注文金額に悩んでいた素人くさい日本人バイヤーが
大メーカーのオーナーとの約束を取り付けたのです。

とっくに帰ったと思われたおじいちゃんスタッフまでやってきて私に聞きます。
「おまえさん、いったい年はいくつなんだ」
「38歳よ」私が胸をはって答えると、スタッフ全員でコントのように
「なんだってぇーー?!」とのけぞってくださいました。

私はパンフレットやサンプルを沢山いただいて、Bobのブースを後にしました。

最後にBobが声をかけてくれました。
「交渉は難しいと思うが、きみは大きなチャンスを手にした」
「ありがとう。また明日」

難しいのは重々承知。
「これでジ・エンド」と思われた可能性が復活したのです。
私の一世一代のエレベータースピーチは成功したと言ってもよいでしょう。

すぐにホテルに戻って明日の作戦を練りたいところですが、私には行くべきところがありました。
グリーティングカードの会社のブースです。

☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜


ANNA GRIFFINのカード(6)作戦会議へ続きます。


※時系列的には「ANNA GRIFFINのカード(2)カタログをください」の後半部分へ移動します。

2014年9月9日火曜日

東京ギフトショー

第78回東京インターナショナルギフトショーに行ってきました。

私が東京ギフトショーに初めて参加したのは2013年の2月。
以来、年に2回の開催にもれなく参加しつづけ、今回で4回目の参加となりました。

前回入手できなかった、数量限定で無料配布される「バイヤーズガイド」も無事ゲット。

今回は数時間しか滞在できなかったので、お目当てのセクションをピンポイントで回りました。

海外、それもアジアからの参加者が増えた!というのが第一印象。
東京ギフトショーもいずれはパリのメゾン・エ・オブジェのようになっていく予感がします。

そして実店舗のないネットonlyショップにも取引を許してくださる企業が増えてきたのを体感。

そして「あれ、あの企業さんは今回参加していないんだ」と意外に思うことが多々ありました。

大企業といえども毎回出展される訳ではないのでしょうし、
常連だった企業様も方針変換などで出展を取りやめることもあるのでしょう。

見本市は本当に一期一会なのだと感じ、改めて今までの数々の出会いに感謝しました。

2014年9月2日火曜日

シンパシーカード(英国)文言

先週に引き続き、英国のカードについての報告です。

義理の姉がロンドンで買ってきてくださったシンパシーカードは全部で10種類。

「ジョンルイス」というデパートのカード売り場で見つけたそうです。

ほぼすべてのカードの中身は白紙。
下段の2つのみ、カードの内側に「Thinking of you」と書いてありました。

写真では分かりにくいので、カードの表に書いてある文言をタイプしました。
------------------------------------------------------
■下段左から
WITH SYMPATHY
WITH DEEPEST SYMPATHY

■下から2段目・左から
with you every step of the way(WWFへの寄付付き)
SYMPATHY(スズランの写真)

■中央(木漏れ日の森の写真)
ONE DAY AT A TIME
AND YOU WILL
FIND YOUR WAY

■上段左からアーチ状に
thinking of you (ティーカップに花束)
TEA and SYMPATHY (ピンクのティーポット:右下のカードに thinking of you X)
you're in my thoughts
with SYMPATHY
big hug x
------------------------------------------------------
xはキスを意味するそうです。

sympathyは同情・共感・思いやりのような意味。
Thinking of you は「あなたのことを想っています」という意味です。


個人的には、日本の慣用句「お悔やみ申し上げます」よりも
英国の「あなたのことを想っています」の方が
より遺族の気持ちに沿っているように感じて、好ましく感じます。

死別は悔やむべきものではなく、避けがたいこと。
死別に苦しむ方を思いやる気持ちを表すことは、
きっとご遺族の悲痛な気持ちを和らげてくれるのではないかと思います。


こういう言葉に囲まれて育った英国人によっては
「ありふれた言葉ばかり!」と感じてしまうのかもしれませんが。


将来、碧香堂のオリジナルシンパシーカードを作る際の
参考にしたいと思います。


※英国のシンパシーカードの習慣についてはこちらの記事をご覧ください。

2014年8月28日木曜日

Cruesの冊子(2)

義理の姉が帰国し、以前ブログに書いたCruesの冊子を送ってくれました。

上段左:After the death of someone very close (とても親しい人を亡くした後で)
£2.50(約473円)
紫色を基調にした落ち着いた雰囲気の全12ページの冊子です。

上段右:When someone you love dies (愛する人を亡くした時に)
£2.75(約430円)
ワニのイラストがかわいいフルカラーの小さな冊子です。

この2冊の表紙をめくるとこんな感じ。

ワニの冊子には、写真を貼るための両面テープもついています。

思ったより薄くて割高に感じます。
おそらく組織運営のための寄付も含まれているのでしょう。

冊子は下段の茶色の封筒で届き、寄付を呼びかけるリーフレットと、
名刺サイズの連絡先カードがついていました。
このカードには「私たちは愛する方を亡くしたあなたをサポートします。
亡くなった時期や死因にかかわらず」というメッセージが書いてあります。
このカードは耐久性の高そうな加工がしてあり、遺族の方が保管するのに適したカードになっています。
冷蔵庫にでも貼っておいてもらえたらいつか役に立つ時がくるのではないでしょうか。


また、義姉はデパートの文具売り場でシンパシーカードも見つけ買ってきてくださいました。
 

シンパシーカード英国版は、中身も確認し別途ご報告いたします。
しばしお待ちください。

2014年8月22日金曜日

豊川商工会議所「創業塾とよかわ2014」での講演

愛知県の豊川商工会議所様が主催されるセミナー「創業塾とよかわ2014」
で創業体験についての講演をさせていただくことになりました。

事前に「内部審査に使うので、経歴書を送ってください」と言われ送ったところ、
ほぼ全文が採用され、メイン講師の方より紹介欄が大きくなってしまいました。

「創業体験者」としてのお話しをすることが私の役割なので、
取引成立までの私の無謀な挑戦と、
創業前後の赤裸々な失敗談をお話し、
勇気と教訓を持ち帰っていただければと考えています。

この「創業塾とよかわ2014」は、
9/28(日)、10/5(日)、10/19(日)の3日間短期集中コースで、
受講料はなんと3日間で3000円。
会場は、豊川駅前の豊川商工会議所。
在住地にかかわらず、どなたでも受講していただけるそうです。

私は10/19(日)の午後お話させていただきます。
どんな出会いがあるのか、今から楽しみです。


■詳細とお申込みはこちら(豊川商工会議所HP)
http://www.toyokawa-cci.org/jyouhouteikyou/kousyuukai.htm

2014年8月14日木曜日

シンパシーカード(英国)習慣

イギリスに滞在中の義姉が、イギリスのシンパシーカードについて調査し、
教えてくれました。

調査相手は、「リバーズダウン」という滞在型の語学研修学校を運営するキャロラインさん。
今までのアメリカやフランスでの調査と異なり、一般市民の方からの情報です。
------------------------------------------------------------
<英国のシンパシーカードとお悔やみの習慣について>

自分の親しい人の身内が亡くなったら、訃報を聞き次第すぐにその親しい人に宛てて
シンパシーカードを送る。

亡くなった人のことをよく知らなければ一般的な文言を書く。
知っている人なら、なるべくその人についていろいろ書く。
(どんなすばらしい人だったとか、自分とその人とのエピソードなど)

シンパシーカードは、シンパシーカードとして売られているものを使うことも多い。
そうではない一般的なカードを使うこともよくある。
(もちろん、絵柄はふさわしいものを選ぶ)

シンパシーカード以外の贈り物はあまりしない。
花をお葬式に贈ることはある。
故人がサポートしていた慈善団体等があり、遺族がそれを望めば、
花を送るかわりにその団体に寄付することはよくある。
------------------------------------------------------------
だそうです。シンパシーカードは私の想像よりずっと定着している習慣のようです。

また「亡くなった方を知っていたら、なるべくその人について書く」
という習慣は、遺族にとってグリーフケアの助けになると感じました。

死別直後の遺族にとって「大切な家族に関する話題がタブーになってしまった」
「もう故人についての新しい思い出が作れない」と感じることはショックなことです。

けれどこうしてカードを通じて「自分が知らなかった故人のエピソード」を
教えていただけることは
「まだまだ私は大切な家族について新しく知ることができる」と感じることができ、
「死んでしまっても、思い出までは奪われない」という力強い発見をする手がかりになります。

Crues(イギリスの国家的なグリーフケア組織)のガイドライン
遺族の方へ -自分を助ける方法-(Cruse Bereavement CareのHPから)
周囲の方へ -遺族の方を助ける方法-(Cruse Bereavement CareのHPから)
でも「故人について話すこと」が推奨されています。
おそらく理にかなった方法なのでしょう。


碧香堂は、日本でも「訃報を聞いたらお悔やみのカードを贈る」という習慣を提唱したいと考えています。

現在は、第一弾として、アンナ・グリフィンのグリーティングカードの取り扱い
を行っています。
今後は、「お悔やみカードに書くべき言葉のヒント集」のようなものも
提供できればと考えています。



ご参考:リバーズダウン(日本語案内)
http://www.crossculture.com/UserFiles/File/Riversdown-House-Brochure-Japanese-Nihongo-2013.pdf
リバーズダウンハウスは英国ハンプシャーにある滞在型の学研修センター。日本人の受け入れも行っています。

2014年8月8日金曜日

Cruseの冊子

以前、このブログで紹介したイギリスの国家的グリーフケア組織Cruse。
http://www.cruse.org.uk/home

Cruesはサイト上で様々なグリーフケアに関する情報を発信し、
リーフレット的なものもダウンロードできるようになっています。
そして同時に、冊子の販売も行っています。

冊子はどれも厚すぎず薄すぎず。
インターネットに接続する意欲もない遺族の方へ
これらの冊子を贈るのは実質的で思いやりにあふれた方法に思えます。

お花やタオルなどのちょっとしたギフトに添えるのにもぴったり。
これぞグリーフケアギフト、なのではないでしょうか。

私は、以前から、ぜひその冊子を手に取ってみたいと考えていました。

しかしこれらの冊子の配送先はイギリス国内に限られる様子。
パリの見本市に出かけた際、イギリスにも立ち寄って入手を試みようかと考えましたが、
日程や費用の関係で断念してしまいました。

それにイギリスの郵便配達事情が分かりません。
短期の滞在だと受け取れない可能性も高いです。
どうしたものか・・・と思ったまま半年が経過。

しかし、なんとこの夏、夫の姉がイギリスに1か月ほど滞在しているという知らせを聞きました。
思い切ってメールで「もしお時間に余裕があれば、このサイトのこの冊子を買ってきて
いただけないでしょうか」とお願い。
すると、「お安い御用です。お土産何がいいかなーと迷っていたので喜んで手配いたします」
と快く承諾してくださいました。

お姉様、ありがとうございます!!
(ずうずうしい弟嫁ですみません。)

Cruseの何冊もある冊子の中から、普遍的でベストセラーの2冊を厳選してお願いしました。
手元に届きましたら、またお知らせしたいと思います。


しばらく英語から遠ざかっていた私ですが、
久しぶりに翻訳作業を頑張らねば!と今からはりきっています。


Cruse Bereavement CareのHPのグリーフケア情報を紹介した当ブログの過去記事
遺族の方へ -自分を助ける方法
周囲の方へ -遺族の方を助ける方法
遺族の方へ-年末年始の過ごし方
子供との死別

2014年7月31日木曜日

年配の方からのご注文

年配の親族から、グリーフケアギフトのご注文をいただきました。

ネットショップには抵抗があるようで、
実家の母を通じてお電話とFAXでご注文いただき、
ご入金も実家に届けていただきました。

知人の方への贈り物ということで、送り先のご遺族も同年代の方。
色のついたろうそくが受け入れていただけるか少し心配だったのですが、
「めずらしいものをいただいて」とお礼の電話があったそうです。

ほっとしました。

いつもと違う注文フローだったので、住所等間違いがないか心配でしたが
頑張って対応してよかったです。


ご注文をいただいた時に金額で指定があり、商品の組み合わせに苦慮しました。

そこで気づかされたのですが、喪のギフトはご予算が先に決まっている場合も多いですよね。

今後は「ご予算2,000円」「ご予算3,000円」「ご予算5,000円」といった
価格帯を意識したカテゴリで商品開発をしようと思いました。


試行錯誤を続ける碧香堂(へきかどう)。

この夏のお盆キャンペーンは
8/1(金)22:59までは全品8%OFF
8/1(金)23:00からはギフト用3品が10%OFF
となっています。

詳細情報&売り場へはこちらかからどうぞ。

2014年7月24日木曜日

手作りキャンドルキット

子供を亡くした後、辛いことの一つは
「もう子供にしてあげられることは何もない」と思い知らされることです。

生前は、一日の大半を育児や家事や看病に費やしていたのに、
死別後は、急にそれらの義務の大半がなくなってしまう。

他にもお子さんがいらっしゃる方はまた違うのかもしれませんが、
私は、急にやるべき仕事を取り上げられ、自分の役割と存在意義までもを失ったように感じました。

私は料理が好きで、息子の食事には時間と手間をかけていたので、
食事の支度をする度に「もうアレルギーや栄養を考えなくてもよいのだ」
と悲しくなりました。

虚無感から逃れるために、死別後しばらくは、
少量の食事を息子の為に盛りつけ、息子の席にお供えしていました。
けれど、誰も食べてくれない料理を片付けるのもまた悲しいものです。

「何かしたい」と思う気持ちは、次は仏壇に花を絶やさないことに向けられました。
花屋さんをめぐり素敵なお花を手に入れ、飾る。
しかし、夏がやってくると、この習慣も大変な負担になります。
日中の室内の気温が上がってしまうので、生花はすぐに枯れてしまうのです。


「何かしたい」と思う親心を満たすアイテムはないものか。
私は、碧香堂を始めた時から、そんなアイテムを探していました。

最初に注目したのは手作りキャンドルの世界です。
ハンドメイドのキャンドルで命日や誕生日に灯せたら素敵です。

しかし、キャンドルを手作りするのは思ったより大変。
様々な見慣れれぬ材料と道具を揃え、火を使わなければなりません。
心もとない状態になっている遺族には少々負担が大きすぎます。

「お手軽だ」と評判のジェルキャンドルも試しましたが、やけどの危険を感じました。


どうしたものか....と悩んでいた時に、カメヤマローソクさんのショールームで
このキットに出会いました。

手作りキャンドルキット

人気のキャンドル作家マエダサチコさんの監修で、心がときめくデザイン。
そして、ワックスシートを使って作るので、はさみさえあれば簡単に作ることができます。
おまけにメーカーは老舗のカメヤマローソク。

なんて理想のキットなのでしょう!と嬉しくなり、お取扱いさせていただくことになりました。


お値段も、お手頃価格の2,000円(税込2,160円)。
個人でワックスシートや芯糸を買い揃えるより、ずっとお得です。

手作りのキャンドルをお供えできたら、きっと親心は満足します。
それに工作はセラピー効果も抜群。
一心に何かを作っていると、様々な苦しみからも逃れられます。

この夏、お盆に手作りキャンドルをお供えしてみてはいかがでしょうか。



マエダサチコさんの手作りキャンドルキット@碧香堂はこちら

2014年7月19日土曜日

ショップデザインを変更しました

創業1周年を記念して、ショップデザインを変更しました。

今までは無料のテンプレートを使っていたのですが、
SEO対策に強い有料テンプレートに蔵替え。

涼しげだけれど寂しすぎないイメージが気に入っています。
碧香堂

創業当初は「創業補助金でECサイト構築業者にオリジナルサイトの開発を依頼しよう」
と考えていたのですが、しっくりくる業者さんと出会うことができず
このような対応になりました。

振り返ってみると、予算の割に要求事項が多かったのが敗因かと思います。
どうも前職(大手SIer)の感覚が抜けきっていなかったのが反省点です。

もっとじっくり、様々な会社の方とお話ができれば出会えたかもしれません。
そういう意味では、商品の仕入れ先確保に東奔西走しすぎて、
十分な時間をかけられなかったのも敗因の一つです。

たった一人で、未経験の分野での創業には試行錯誤が付き物。
振り返りや反省も大切ですが、それ以上に事業を前に進まないと!
と自分を鼓舞しています。

今後は、ロゴ部分のサイズを調整したり、
スライドショーを設定したりしてより素敵なショップを目指して改良を進めてゆく予定です。

まだまだ改良点は残っておりますが、一歩一歩やってゆこうと思います。
今後もどうぞよろしくお願いいたします。

2014年7月15日火曜日

創業一周年の誓い

碧香堂の運営会社OfficeWanibe(オフィスワニベ)は7月3日に創業一周年を迎えました。

友人知人の皆様の購入に支えられてスタートした碧香堂も、
最近では、見知らぬ方から定期的にご購入いただけるようにました。

しかし、売上高は決して大きくなく、
低コスト運営を心がけているので大赤字にこそなりませんが、
初期投資費用(買い付けの為の旅費など)を回収できるのはいつになるのだろう・・・
と不安だった昨今。

今年5月から週3日の定職をいただき、生活費はこちらで確保できることになりました。
また、このお仕事はただのアルバイトでなく今までの職歴と創業経験を活かせる
コンサルタント的な公職のお仕事。
「コンサルタントとして起業したい」と考えている方から見たら、
のどから手が出るほどの貴重なポストです。

また、この仕事がきかっけとなり、個人的に講演や講師のお仕事もお声がけいただくケースも
ちらほら出てきました。

そして、複数の方から
「碧香堂はもうやめて、コンサルタントとして仕事をしては?」
「あなたは輸入販売より、コンサルタントの方が向いているのでは?」
というアドバイスをいただくようになりました。

ううーむ。

確かにこの新しいお仕事はやりがいがあり、勤務時間以外でも勉強や調査が必要になるなど
本気で取り組む必要があります。
平日の2日間と週末は碧香堂事業に充てられるはずでしたが、
疲れ切って倒れ込むように眠り続けてしまったり、
下調べに時間を費やして、碧香堂事業がおろそかになっている感も否めませんでした。

「碧香堂事業ができない!」とぼやき、
「碧香堂のグリーフケアギフト事業と、公務のコンサルタント業務をどうやって両立するのか、
どちらを優先させるべきなのか」
と悩んだこの1か月間。

先週1週間じっくり考えて、なんだかふっきれ、結論を出すことができました。


私は、グリーフケアギフト事業を辞めることはできません。
これは私にとってライフワークであり、
自分自身のグリーフケアとしても必要な作業だからです。

かといって、月商〇〇万円!と売り上げ規模を誇ったり、
輸入業者として取扱い量を増やして独占販売権の獲得を目指すのも
私の事業目的とは少々異なります。

碧香堂事業の目的は、グリーフケアギフトの普及。
ご遺族の方が、贈り物によって傷つくことを少しでも避けたい。
故人の個性を尊重したギフトと受け取り、慰められる瞬間を少しでも増やしたい。
「喪のギフトの世界を変えたい」というのが私の創業の動機です。

新しい概念や習慣を普及させるのには、1店舗の活動だけでは限界があります。
必要となるのは、売り上げ拡大でなく、普及活動であり広報活動でしょう。

であるならば、コンサルタントとしての講演や講師のお仕事も、
その助けになるはずです。

実際に、公務のお仕事が始まってから、オフィスワニベのフェイスブックページ
の閲覧数(リーチ)は2.5から3倍に急増しました。

私にとって、対面で自分自身の経験を語るのは、未だに緊張を伴います。
さすがに言葉や表現を選ぶ技には磨きがかかり、
聞き手の反応に傷つくことは少なくなりましたが、
思わぬ瞬間に過去の痛みがよみがえり、辛い気持ちに襲われることが
しばしばあるからです。

それでも、その活動がグリーフケアギフトの普及につながるのならば、
取り組む価値はあるはずでしょう。


碧香堂のグリーフケア事業の広報の為にも、コンサルタント業務も全力でやる。

とりあえずこの一年間は、この方針で活動してゆこうと思います。

2014年7月4日金曜日

両立の秘密-運送業者との契約

碧香堂は、店長かとうが一人で切り盛りするネットショップ。
その店長かとうは、今年の5月から愛知県よろず支援拠点で週3日フルタイム勤務しながら
ショップを運営しています。

それを可能にしてくれるのは、この郵便局。

24時間ゆうパックを取り扱ってくださるので、出勤前や帰宅途中での出荷が可能なんです!

ネットショップの運営の基礎として、運送料金の大口割引契約の取得があります。
これは、運送会社と業務契約を結ぶことにより、通常料金より割引が受けられるという、
嬉しい仕組み。
年間の利用数によって受けられる割引の比率は異なります。

碧香堂は当初2社と契約していましたが、消費税率UPをきっかけに
郵便局との専属契約に変更しました。

業務契約の使い方は会社によって様々ですが、
郵便局の場合「ゆうビズカード」と言う契約番号がかかれたカードを持って
契約した郵便局へ出荷に行きます。

通常は集荷をお願いできるのですが、
碧香堂は事務所のすぐ近くに郵便局があり、取扱量もまだまだ少ないので、
「自分で持ち込みます。その分安くしてください」と交渉を行いました。

その結果、碧香堂の最寄りの郵便局は土曜日と日曜日がお休みなので、
最寄りの大型郵便局も利用可能となりました。

そして、なんとその郵便局は私の通勤ルートの途中の駅の真上にあるのです。

当初は勤務のお仕事のお話をいただけるとは想定しておらず、
ただただ「お客様の為にも送料を抑えたい」と考えて行動したことが、
結果として今の掛け持ち生活を可能としてくれました。

24時間営業の郵便局様に感謝感謝の毎日です。

勤務のお仕事の内容は、新しい窓口の運営とIT活用のよろずご相談に応じること。
今までのIT業界でのキャリアと、創業の試行錯誤の経験を活かしながら、
中小企業および小規模事業者様のご相談にのっています。

相談のお仕事は楽しくやりがいがあります。
そして自分自身の事業の参考になることも沢山。
相談業務がはじまってからこの1か月は忙しくて毎日ヘトヘトになってしまっていましたが、
徐々に相乗効果を出していきたいと思います。

2014年6月27日金曜日

創業補助金の完了報告

創業補助金の完了報告がようやく終わりました。

昨夜(というか今朝)の朝5時までかかってラストスパート。
当初予定よりかなり使用金額が減ってしまったのですが、
それでも書類は厚さ2cmを超えました。

反省点は多々あります。

申請は、1つの購入ごとに「仕様書」「見積書」「発注書」「納品書」「請求書」「支払いが確認な資料(領収書など)」を揃えるのが基本。
私は「書類をいっぱい揃えなければならない!」とテンパってやたら見積書をもらって来てしまいました。
そのくせ購入の決断ができなくて、そうこうしている間に見積書の有効期間が切れ、
そのままお蔵入りになった購入案件も。

そして、今回の補助金は「申請後認められれば、使った金額の2/3が後で帰ってくる」
というタイプだったのですが、私はこの2/3マジックに惑わされ
「これは本当に必要か」
「万が一2/3が戻ってこなくても買うべきか」
「いやせっかくなのだから、この期間に買ってしまった方がお得なのでは?」
「本当に申請が認められるか不安」
と堂々巡りをしてしまうこともしばしばありました。

事業のスピードアップを図るなら、自分の意思決定のスピードを上げなければならない
と痛感しています。

しかし、創業直前のタイミングでこの補助金が公表されたのは幸運なめぐりあわせでした。
そして、補助金採択事業の事例紹介として取り上げていただけ、
ショップへのアクセスが上がったのもありがたいことでした。

このご恩を返すためにも、「もっといっぱい売って、人を雇って、いっぱい納税する」
を早く実現したいです。


この創業補助金の本年度バージョンは6/30が締切。
締切1営業日前の今日は、受付にたくさんの人が並んでいました。

私がこのブログを書いている今も、申請書をブラッシュアップされている方も多いのでしょう。
締め切りまであと3日弱。
悔いのないようがんばってください!

2014年6月20日金曜日

個人輸入のはじめ方

今週、立て続けに「輸入をやってみたいのですが、どうしたらよいのでしょうか?」と質問を受けました。

このブログで私のドタバタ起業顛末記は書いていますが、
「情報としてまとまっていない」と感じたので、まとめてみます。

(ANNA GRIFFIN物語は続きます。しばしお待ちを。)


1.MIPROを活用

MIPRO(ミプロ)は個人輸入をサポートする一般財団法人です。
MIPROのサイトでは、輸入に必要な情報がぎっしり詰まった冊子が無料でダウンロードできます。
http://www.mipro.or.jp/
また、無料で輸入の相談を受け付けています。
窓口は東京池袋にしかないのですが、Webや電話での相談もOKです。
QA集も参考になります。


2.仕入れ先の見つけ方

主に4つの方法があります。
1)友人・知人からの紹介
2)バイヤー向けサイトで開拓(BUYMAやeBay,アリババなど)
3)海外見本市で開拓する
4)現地のマーケットで発掘する

1)は「以前海外に住んでいてその時のつてで」等のケースです。

2)は要英語力。既にやっているショップさんも多いかもです。

3)が王道だと言われています。
見本市に出展できる企業というのはそれなりに信用があり、また実物も会場で確認できるので効率がよいとされています。
しかしメジャーな見本市では既に日本に代理店があるメーカーも多くなります。
また、その場で買って帰れることはまずなく、注文し、お金を支払い、商品の到着を待つ、
というプロセスが必要となります。

4)は市場での買い付けも含まれます。
その場で買い付けて持ち帰えるのが最も手っ取り早い方法。
全くの初心者はまずはここからとよく言われました。
3)と組み合わせて、見本市の前に市価を把握するためにも一度マーケットに行ってみることをお勧めします。


3.見本市情報

JETROのサイトの情報が一番充実しています。
http://www.jetro.go.jp/j-messe/
その昔はJETROが輸入もサポートしていたのだそうですが、
現在は「輸出&海外進出はJETRO」「小口輸入はMIPRO」と棲み分けがされているのだとか。

けれど全く輸入の相談を拒否している訳ではありません。
貿易サポートのイベントもたくさん。
MIPROとJETROのメルマガは購読を登録しておくことをお勧めします。


4.見本市への参加申し込み

バイヤーとして事前に申し込み、現地に赴きます。
主催者のサイトで直接登録することもできますが、
アジアやマイナーな見本市では、その国の商務省の出先機関@日本を通じて申し込むとホテルの無料宿泊などの特典がつくことも。
また、通訳の手配など様々なサポートをしてくださるので、要チェックです。
※見本市によっては有料だったり資格審査があったりします。


5.見本市に行く準備

事前に用意すべきものは3つ。
1)英語の名刺
2)支払手段の準備
3)輸送方法の確認
です。

1)名刺には、オリジナルドメインのメールアドレスやURLがあると信用性が増すように感じます。
また、国によってはLINEやSkypeのIDが書いてあると喜ばれることもあります。

2)支払方法は、欧米はクレジットカード、アジアでは銀行振込が多いようです。
事前に、カードの限度額や暗証番号を確認したり、取引先の国への送金事情を調べておくくらいはやっておいた方がよいと思います。
コスト計算には諸手数料も加えなければいけませんし、銀行経由の送金は手数料が意外に高いのです。

3)FedExなどのアカウントを持っていると「着払いで送って」と言うだけで商談がシンプルになります。
但し、着払いを選択すると日本の料金体系が適用されて割高になることも。
小口輸入者の私たちは、輸出元の意向に従うしかないことも多々あるのですが、
あらかじめ送料の目安を把握しておくと安心できます。


あとは、飛行機とホテルを手配して飛び立つだけ!


以上、超ざっくりとした、個人輸入のはじめ方(着手編)でした。

2014年6月9日月曜日

ANNA GRIFFINのカード(4)エレベータースピーチ

お取引に至らなかった、とあるキャンドルメーカーとの交渉のお話その2です。

【今までのお話】
ANNA GRIFFINのカード(1)出会い
ANNA GRIFFINのカード(2)カタログをください
ANNA GRIFFINのカード(3)キャンドルメーカー

☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜

私は息を切らせながら心優しきおじさま達が運営するブースにたどり着きました。
そんな私を見て、顔見知りのおじいさん販売員はびっくり。
接客中だったのに商談を中断して私に声をかけてくれました。
「おや、ジャパニーズガール、こりゃまたようこそ。
今日は一体どうしたんだね?」

私はメーカーのセールスマネージャーの彼が来る前に責任者に話を通しておかなければと思い、焦りながら説明しました。
「Bobはいますか?私は今すぐに彼と話をしたいのです。
このキャンドルのメーカーのセールスマネージャーと会って」

私の表情から何かを察したのでしょう。
彼は受付にいる案内嬢を呼んで、Bobを呼んでくるよう指示しました。

そして別のスタッフを呼び
「わしゃ自分のお客さんがいるから、あとは彼と話しなさい」
と引き継ぎをしてくれました。

ありがとう。

私は商談の邪魔をしてしまったことを彼と彼のお客様に詫び、
今日はじめて会うスタッフさんに自己紹介をしました。

☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜

「初めまして。私は日本から来ました。そして日本に住んでいます。

('I came from Japan.'とだけ言うとルーツなのか住居なのか識別がつかないようで
'Do you live in Japan? 'と聞かれることが多かったので2日目から付け加えるようにしていました)

私はこの見本市の初日にこのブースに来て、このキャンドルをとても気に入りました。
でもOpen Price(最低注文金額)が私には少し高くて、迷っていたらBobに’できるさ’と励まされました。

そして今日先ほど、臨時出展ブースでもこのキャンドルを見つけて、日本に輸入にできるか聞いたのです。
すると彼はメーカーのセールスマネージャーで、日本への輸出はイギリスの代理店を通さなければいけない。
Bobの代理店は日本へキャンドルを売ることを禁止されていると言いました。

私はトラブルを望みません。
Bobに、日本へ輸出できることを約束していないと言って欲しいんです」

☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜

なんとか伝え終わった時、どこからともなくBobがやってきました。

「ああ、Bob!
私はトラブルを起こしてしまうことを恐れています。
私は今日、このキャンドルメーカーのセールスマネージャーに会いました。
彼は、えっと」

私が言葉に詰まっていると、先ほど相手をしてくれたスタッフが、
早口の英語で手短にBobに伝えてくれました。

Bobは言いました。
「わかった、わかった。でも何も問題はない。
まずは落ち着いて。そこに座って。そうだ、コーヒーとクッキーはどうだい?」

私はここ数日間で、スタッフは何よりもブースの雰囲気づくりに心を砕いていることを学んでいました。他のお客様もいる前で取り乱してもらっては困るのでしょう。

とにかく伝えるべきことは伝えたし、彼に従ってコーヒーをいただこうかな、と思った瞬間、
あのセールスマネージャーがやってきました。

彼はすぐに私を見つけ、不敵に微笑みました。
「やあ、また会ったね」
そしてBobに向かって「Bob、きみに話がある。契約についてだ」と言いました。

私が聞き取れたのはここまで。
すぐに2人は激しく言い合い始めました。身振り手振りが大きく、どんどんお互いの顔が近づいてゆきます。英語は全く聞き取れません。でも、よくない雰囲気であることは確かです!

「ちょっとまって、誤解があります」
私が口を挟もうとすると、先ほどのスタッフが私の前に回り込みました。

彼はウインクをしながら、ことさらゆっくりと話します。
「マドモアゼル。折角ですから私たちのキャンドルをゆっくりご覧になりませんか?
私はこのキャンドルを3年間売っています。
このキャンドルに関することなら、なんでも質問に答えられると思いますよ」と。

むむむ。
私はここを立ち去った方がよいようです。
私は深呼吸をしてから、彼に従うことにしました。

「それはいいアイデアですね。お願いします。
けれど、私はマドモアゼルでなくマダムですのよ。ムッシュー?」

「おや、それは失礼しました。マダム、こちらへどうぞ」
彼はにやりと笑いながら私をエスコートし、大きな棚の向こう側へ案内してくれました。

棚の向こう側へついた私たちは、顔を見合わせて笑いました。

「ムッシュー、ありがとう。
あなたのおかげで最悪の事態は避けれたみたい」

「どういたしまして、マダム。
でも私はまだあなたの名前も知らないんですよ」

そういえばそうです。私はあわてて名刺を差し出しました。
彼も私に名刺をくださいます。

私は改めて自己紹介をし、お詫びをしました。
「私は日本でグリーフケアのギフトを販売する仕事をしたいと思い、起業したばかりです。
昨年まではITエンジニアでした。
私はこの業界についてよく知らないし、アメリカの見本市に来るのも初めてです。
私のせいで、あなたのボスの立場が悪くならなければよいのですが」

「へぇ、そうだったのですか。でもあなたの対応は適切でしたよ。
彼は今、OpenPriceについて話しただけだとマネージャーに弁明しています」

私の相手をしながら聞き耳をたてているとは。なかなか有能なスタッフのようです。
「そうなんですね。あなたがBobへ手短に話してくれたおかげです。
ありがとう」

一気に打ち解けた私たちはいろいろな話をしました。

彼はフロリダ半島のタンパに住んでいるということ。
海と太陽がきれいな街だそうです・
そして、タンパでこのキャンドルの代理店をしていて、
このアメリカズマートの期間中だけセールスの応援に来るのだそうです。

(タンパはアトランタのずっと南。フロリダ半島の真ん中東側にあります。
数日前までサッカー日本代表がキャンプをしていた土地です。)

そして、このキャンドルについていろいろと教えてくれました。
一番人気があるのは香り。定番商品の香り。
クリスマスシーズンによく売れる香り。
アメリカではキャンドルはキッチンやリビングで使う物だ。
などなど。

そして、このメーカーの代理店に対する数々の素晴らしいサービスを教えてくれました。
OpenPriceは少々高いけれど、木製の什器が無料でサービスされること。
アメリカ国内なら送料は全て無料で、どの代理店から買ってもメーカーから直送されること。
そして販売店内を競わせサポートする様々なコンクールのこと。

かなり完成されたビジネスモデルを構築している会社だと感じました。

私はため息をついて言いました。
「聞けば聞くほど魅力的なキャンドルと会社です。
私もこのキャンドルを日本で売りたい。
でも、私はイギリスの代理店を通じて買わなければならないのでしょうか?」

彼は残念そうに言いました。
「アメリカでは契約は絶対ですからね。
それにセールスマネージャーの言うことを覆すのは難しいでしょう。
オーナーの意向でも変えないない限り」

アメリカ社会における契約の大切さは私も知っていました。
私は、13年間アメリカ系のコンピューターメーカーで働いていたのです。

「契約書に書いた期日は何が何でも守る義務がある。
契約書に書いてないことを勝手にやる権限はない」
そんなトレーニングを長年受けてきました。

私がその難しさを崩せることができるとすれば、グリーフケアギフト事業にかける想いだけです。

私は彼に起業の動機を説明しました。

日本では、毎日仏壇にお線香やろうそくを灯す習慣があること。
けれどろうそくには香りがなく、無個性であること。
家族を亡くした時に、もっと個性のある線香やろうそくがあればよいのにと思ったこと。
そして、このろうそくは私のコンセプトにぴったりだということ。
などなどと。

彼は私の話を、ところどころ質問をしながら、じっくり聞いてくれました。
そしてしんみりと言いました。
「それは素敵なビジネスプランだね。
あなたが私のようにBobからこのキャンドルを買えるとよいのだけれど」

その時、にわかに棚の向こう側が賑やかになりました。
私と彼は顔を見合わせました。

さきほどまでけんか腰だったセールスマネージャーとBobが仲睦まじく、
小柄な若い男性をうやうやしく囲みながらこちらへやってきました。

「ようこそおいで下さいました」
「売り上げは順調ですよ」
「今日は日本からのバイヤーも来ているのです」
「ええ、我々のキャンドルに興味があるとかで」

セールスマネージャーとBobは笑顔で話しています。
先ほどまでの険悪な雰囲気は一体どこへ?!
そしてこの男性は何者なのでしょう?

私とスタッフが戸惑っていると、その若い男性が私に握手を求めてきました。

顔を見ると、文句のつけようがないイケメンです。

彼は何か英語で自己紹介したようなのですが、私は聞き取れませんでした。
そして、彼ら3人はあわただしく商談へと戻って行きました。

私は、ずっとついていてくれたスタッフに助けを求めました。
彼はぽかんとした顔をしています。

「ねえ、あの人は一体なんだったの?」
「Oh my God ! 彼はオーナーだよ!このキャンドルの創始者の息子で今のオーナーだよ!
僕は3年間このキャンドルを扱っているけれど、今日はじめて会ったよ!!」

えぇっ。あの若者がオーナー?!

「本当だよ、僕が君にさっき渡したカタログ。
この1ページ目に載ってるでしょ」

分厚いカタログをめくると先ほどの彼の写真がサイン入りで載っていました。
どうやら本当のようです。
しかし彼はこの会社のオーナーにしては若すぎです。学生にさえ見えます。

「君は正しい。彼は昨年まで大学生だったんだ。
彼は3年間でこの会社をここまで大きくしたんだ。」

なんとまぁ。そんな学生起業家がこの会社のオーナーだったとは。

驚きましたが、驚いている場合ではありません。
これって、大変ラッキーなチャンスなのではないでしょうか。

私の頭には「エレベータースピーチ」という言葉が浮かびました。
会社員時代に新人研修で習った言葉です。

新人研修の講師はこう言っていました。

”常に自分の仕事の問題点を1分間で話せるようにしておきなさい。
あなた達はI社の社員として、キーパーソン(自社の社長やお客様の偉い人)に突然会って話す機会があった際に、端的に課題を説明する必要があります。
これをエレベータースピーチと言います。
この業界には、エレベーターなどでキーパーソンと一緒に乗り合わせた際に手短に話し、抜擢のチャンスを得た人がたくさんいます。

現実には、そんなチャンスが訪れることはめったにありませんが、この習慣を身に付けることによって常に大局的な観点から自分の仕事を眺めることができます。
端的に自分の仕事の問題点と解決策を話せるように、日ごろから考える習慣を身に付けるようにしなさい。”

ピカピカの無邪気な新人社員だった私は、この話を気に入り、
通勤電車の中で「今の仕事の一番の問題点と解決策」と考えるのを日課にしていました。

会社員時代にはついぞその機会に恵まれなかったエレベータースピーチのチャンスが、今私の目の前に。

私はタンパから来た彼に相談しました。
「ねぇ、私はオーナーと直接話をしたい。1分だけ時間をもらえないかしら」
さすがの彼もうろたえます。
「どうなんだろう。僕にはそんな権限はないし、彼はとても忙しい人だと聞いているよ」

興奮さめやらぬ私たちが作戦会議をしていると、イケメンオーナーが一人でやってきました。
今度は私にだけ握手を求め「先ほどは失礼しました。お会いできてうれしいです」とおっしゃいます。

私はすかさず彼を見つめながら言いました。
「私は、自分があなたのキャンドルを日本に紹介するのにベストな人間だと思います。
私に1分だけ時間を下さい」

彼は私の迫力に驚いたようで、うなずきました。
「OK、話を聞きましょう」

私の背後にいたスタッフが息をのむ音が聞こえました。

私のエレベータ―スピーチの始まりです。

 ☆.。.:*・゜☆ 続きます。


アメリカズマートのバイヤーズガイド。
私は毎晩ホテルでこの電話帳のように厚い冊子と格闘していました。

2014年6月3日火曜日

ANNA GRIFFINのカード(3)キャンドルメーカー

間が空いてしまいましたが、連載(?)再開です。
今回はお取引に至らなかった、とあるキャンドルメーカーとの交渉のお話です。

【今までのお話】
ANNA GRIFFINのカード(1)出会い
ANNA GRIFFINのカード(2)カタログをください

☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜

「Take your wayかぁ。いいこと言ううなぁ」
私は、彼の言葉をかみしめながらホテルの部屋に戻りました。

自室の前まで来てカードキーを取り出した途端に、大切なことを思い出しました。
「カタログをくださいって念押しするのを忘れた!」

ああ、私はやっぱり素人バイヤー。おまぬけな話ですが、今更仕方ありません。
明日の商談に集中!です。

私は落ち着くためにシャワーを浴びてから、改めて今までのやり取りを思い出しました。

☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜

私がそのキャンドルを発見したのは、アトランタのアメリカズマーケットに初めて足を踏み入れた日の午後でした。

そのキャンドルメーカーのブースは、そこだけデパートのような高級感のある売り場になっていました。
ティーライトキャンドルから巨大なガラスポットまで、大小さまざまなサイズのキャンドル。
色はシンプルに白だけなのですが、香りはざっと50種類。
どの香りも控えめでセンスが良く、心地よい香りです。
どの香りにもひとひねりある名前と物語がついていて、心惹かれます。

そして何より、ラベルや展示用の什器、小売店向けのサービスが充実。
コンセプトや経営理念などもシンプルで明確です。

最低注文金額は750ドルから。
他のお店に比べると少々高額で悩むところですが、出せない金額ではありません。

この完成度合なのに、日本に販売代理店は未だないのだそう。
ためしにブランド名を入力してネット検索してみましたが、確かに日本語のページは見当たりませんでした。

まだ無知な新規バイヤーそのものだった私は、
「私はなんてラッキーなのだろう。アトランタまで来るとこんな大チャンスがころがっているのだ!」と無邪気に心をときめかせていました。

接客してくださる方は、メーカーでなく代理店の方で、年配のおじさま・おじいさまが中心。
「おお、きみは日本からはるばる来たのかね。一人で?! アトランタへようこそ!」
「きみの英語は上手だね。僕なんて生まれてから今まで英語しか話したことがないよ」
「本当だ、いい英語の先生についたのだろう」
と暖かく迎えてくれました。

説明もシンプルかつ明確で分かりやすく、
「この代理店とならよいお付き合いができそうだ」と感じました。

唯一気になったのは「日本に輸出できますか?」への回答。
「ああ、できるはずだよ。なぁ?」
「さぁ。マイクに確認した方がいいんじゃない?」
と、急に曖昧になりました。

気になった私は、このキャンドルメーカーの公式サイトから質問をしました。
「私はあなたのろうそくを日本へ輸入することができますか?
日本に既に代理店があるのならば教えてください」と。
すると、超長文の格調高い英語で返信がありました。

そのメールにはこのように書かれているようでした。
「南北アメリカ以外は、我々イギリス代理店の配下である。
したがって、御社はイギリス代理店である私と契約を結ぶ必要がある。
今までにも日本の業者から問い合わせがあったが、我々が期待する規模でなく
取引は成立していない」

アメリカで作っているろうそくなのに、イギリスから輸入しなければならないって、本当に?!

英語力に自信のない私は、英語の得意な友人に助けを求めることにしました。
簡単に事情を説明し、「ちょっと訳してくれませんか?」とメールを添付します。
ちなみに、パソコンを持ってこなかったので、全てiPhoneでのやり取りです。
何度も手がつりました。

時差が上手く作用し、翌朝には友人から返事が届いていました。
「そう、正解。あなたはイギリスの代理店から仕入れなければならないみたい」
とのこと。なんてこったい。

アメリカから直接輸入するだけでも、最低注文金額と送料が不安なのに
イギリスを経由していたら採算が不安すぎます。

諦めきれない気持ちを抱えたまま、他のキャンドルメーカーを探すべく
ギフトショーのカタログを見直していると、
同じ代理店が、臨時出展エリアにもブースを出していることを発見しました。

このブースに行ってみよう。
そして、何食わぬ顔をして取引できないか聞いてみよう。

アトランタに来るまでは「私はこの業界では信用も何もないのだから、せめて誠実でいよう」
と心に決めていた私の初めての悪巧みです。

当初、この作戦は成功したかのように見えました。

臨時出展エリアブースには今までに見たことのない若く体格の良いスタッフがいて、
愛想よく対応してくれました。
そこで、私は思い切って聞いてみることにしました。
「私は日本に住んでいるの。日本に輸出する場合、送料以外に特別なチャージは必要かしら?」
と。

すると彼の表情は一転して、厳しい顔で言いました。
「No。日本には輸出できないよ。アジアはイギリスの代理店を通してもらうことになっている」
私はあえてとぼけてみました。
「えっ、そうなの?
他のブースでは日本に輸出できるようなことを聞いたのだけれど・・・」

彼はにやりと笑って、ネームプレートを裏返して言いました。
「実は僕はメーカーの人間でセールスマネージャーだ。セールスルートは僕の責任下にある。
もし、ビルディングXのブースの責任者がそういったなら、僕は彼を契約違反で注意しなければいけない」

メーカーの人間か代理店の名札をつけてスタッフをしているなんて!
私は驚きながらも慌てて付け加えました。
あの心優しい代理店のおじいさまたちが怒られてしまっては大変です。

「えっ、そうなの?!私の英語は不確かだから、聞き間違えたのかも。
今日もう一度行って確認してくるわ。
だって私はどうしてもこのキャンドルを私の顧客に届けたいのだもの」

彼の表情は少し和らぎましたが、目は笑っていません。
「そうだね、僕も今日彼らのブースへ確認に行くよ」

大変なことになりました。
彼は、私が公式サイト経由で送ったメールの存在も知っているのかもしれません。
私は彼より早く代理店ブースへ向かわなければと思いました。

しかし、アメリカズマートのビルは広大で、複雑です。
3つのビルがところどころでつながっているのですが、そのつながり方が複雑。
しかもこの日は重要な通路が封鎖されていて、大混乱。
常勤らしきスタッフですら
「えぇーっ?!私はどうやって私の売り場に戻ればよいの?」と警備員に聞いている始末です。

私がクタクタになって、常設ブースの代理店にたどり着くと、幸いあのセールスマネージャーはまだ到着していないようでした。

☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜

長くなりすぎたので、別の記事へ続きます。

アトランタのホテルのロビー。
不安でいっぱいだった私を、黄色いお花が励ましてくれました。

2014年5月30日金曜日

新しい世界

記念日反応にやられて怪我をし、発熱までして寝込んでいた4月下旬のある日。意外な方からお電話がかかってきました。

お電話の主は、かつて創業道場への入門面接でお目にかかったあいち産業振興機構の統括コーディネーターさん。誰もが知っている大企業で取締役まで務めた方です。

突然のお電話にびっくりしていると、さらに意外なことを告げられました。
「国が新しく中小企業・小規模事業者を支援する拠点を都道府県に設置する。
自分はその愛知県の責任者になった。加藤さん、週に数日働いてみませんか?」
というスカウトのお電話。
私の役割は「拠点の運用業務と、広報的なお仕事、そして世の中の新サービスの調査・分析。ゆくゆくは経営相談員としての活動やセミナーの開催も期待している」とのことでした。

私の今までの経歴(IT業界での経験)と、起業の経験、そして各種資料の作成能力と分析力、碧香堂HPのまとまり具合を評価しての起用とのこと。

碧香堂は正直言って赤字です。そして、人と接することが好きな私は自宅での作業に少し息詰まりを感じていたところ。「記念日反応が終わったら、短期のバイトでもしてみようか」と思っていた矢先のお誘いでした。

思ってもみなかったお話に私はただただびっくりし、お電話を切った後、徐々に嬉しくなりました。そして、「ああ、私は捨ててしまったキャリアに未練があったのだな」と気づきました。

私は、息子を亡くすまで、ずっとIT業界で働くつもりでした。
男女の分け隔てなく能力と実績で評価されるこの業界が好きでしたし、プロジェクトの運営やお客様との信頼関係の築き方には自信があり、やりがいを感じていました。将来は「効率の良いプロジェクト運営」や「業務システム開発におけるユーザー部門担当者に求められる役割」といったテーマで論文を執筆したいと考えていました。

しかし、息子を突然失った後、PTSDを克服してなんとか復職してみると、担当していたお客様の業界の景気はどん底。また会社の組織が激しく変わり、産休に入る前に「育児と両立が可能そうな働き方ができる部署」にいくつかコネを作っておいたのですが、それらの部署はなくなっていました。
そして何より、自分と家族の健康を犠牲にしてまで働く気持ちにはなれませんでした。

そんなこんなで思い切って会社を辞め、海外(タイ)で働いたり派遣社員として働いてみましたが、「あのタイで見つけたお線香とろうそくを日本の遺族仲間に届けたい。日本の喪のギフトの世界を変えてみたい」と思い起業を決意。

様々な方にビジネスプランを見ていただきましたが、私の碧香堂プランの最大の弱点は「今までのキャリアや経験・スキルが活かされていない」という点でした。
経験のある業界で起業するのが、成功の鉄則。未経験の分野で成功できるほど、世の中甘くはありません。

しかし幸い、生活費は夫が稼いできてくれますし、私はこの事業をやってみなければ、先に進めないような気持になっていました。私にとってのグリーフケアギフト事業は、単なる職業選択の問題ではなく、ライフワークの問題でもあるからです。

最初は苦労するだろうけれど、様々な場面で今までに身に付けたスキルは活かせることはできるはず。それに将来碧香堂が成功して、セミナーやコンサルティングができるようになれば今までのキャリアも活かせるはずと、漠然と考えていました。

それが意外な形で、一足先に実現することになりました。

週に3日の勤務(当初は週に2日というお話だったのですが・・)ですから、なんとか碧香堂との両立は可能ですし、様々な事業者の皆様の相談に対応しているうちに、事業展開のヒントも得られそう。もちろん、公務なので公私混同は厳禁ですが、今までボランティアで創業仲間の相談にのっていましたが、業務として堂々と時間を割くことができます。それに何よりIT業界での経験が活かしたお仕事が可能になります。

GW明けから私の勤務がはじまり、来週の6月2日に拠点がオープン。
この3週間私はかつてのプロジェクト立ち上げのような雰囲気の中で、様々な原稿を作ったり、管理表を作ったり、メンバーの取りまとめを行ったりと、久々に時間に追われながら働いてきました。

久しぶりのオフィス勤務でミスや失敗もありましたが、お目付け役の方に「仕事の早さとコミュニケーション能力は素晴らしい」と褒めていただき、少しだけ自信回復しました。
(IT業界にいた際もコミュニケーション能力には自信があったのですが、入院時代は何かと上手くいかず、自信喪失していたのです・・・。)

そして今日、私の初仕事「リーフレットの原稿のとりまとめとデザイン」の成果が完成。
今までネット印刷会社しか使ったことのない私にとって、版下を作ってくださる印刷会社さんの利用ははじめて。「加藤さんは、こういうのが得意だと聞いていますが?」と言われた時には不安になりましたが、なんとか形になりました。

そのリーフレットの一部。私の自己紹介のコーナーです。

週明けから、愛知県下に10万部(!)配布されます。

病院の廊下で「この先私は何をして生きて行けばよいのだろう」と途方に暮れていたあの日から
早7年。

思ってもいなかった世界でのお仕事は、来週から本格稼働です。

2014年5月21日水曜日

記念日反応-7回目の私の場合

苦手な季節がようやく終わりました。

3月下旬の息子の誕生日にはじまり、
その約1か月後の命日。
そして、子供の日、母の日と続くこの約1か月間。

私にとっては、記念日反応と戦う季節です。

ここ数年は、あらかじめ「この季節は何かやってしまうから気を付けなければ」と
身構えるようになりました。

心理カウンセラーの先生によると、
「自分で心構えができるようになったことは、一歩前進した証拠」
なのだそうです。

だからといって無事では済まないのが、記念日反応のやっかいなところ。
十分気を付けていたつもりの私ですが、今年も散々な目にあってしまいました。


4月上旬の夕方。
ぼーっとする頭と疲れた体を引きづるようにして夕食の下ごしらえをしていた時。
じゃがいもの皮をピーラーでむいていたのですが、手が滑り、
指まで削ってしまいました。

傷口を洗い、修復機能のあるバンドエイドを貼っておいたのですが、
翌朝見たら血の塊のようなものが出来ている。
「これはヤバいかも」と判断し、近所の外科に行くことにしました。

玄関を出てすぐ目に飛び込んできたの入学式帰りの小学生親子。

指よりも、胸がずきんと痛みました。

私は、小学校の入学式に思い入れがあります。
息子の病気が分かって緊急入院した後、応急処置的な治療がひと段落し、
「今すぐに死ぬ可能性は回避できました」と言われ、
数か月ぶりに病院の外に出たのが、ちょうど桜の季節。

「世の中いつの間にか春になっている」と思いながら歩道を歩いていると、
一組の親子が目に入りました。

私より少し年上の、地味だけれど上品でやさしそうなお母さんと、
黒いランドセルを背負った男の子。
二人は胸にリボンを付けて、仲良く嬉しそうに桜の木の前を歩いていました。

数か月間、全てを諦めて病院に閉じこもっていた私には、
その姿が眩しくて、つい夢を見てしまいました。

ひょっとしたら、息子と私も、小学校の入学式に行けるようになるのかもしれないと。

思えば、出産を終え産院から退院させる時にも桜が咲いていました。
そして突然亡くなる数日前に、お散歩に行った時も2人で桜を眺めました。

そんなことが次々と思い出されましたが、それ以上考えないよう自分をコントロールし、
心をまっさらにして外科までの道のりを歩きました。
(ここ数年で身に付けた技です。)

ぼんやりしたまま受付を済ませ、診察していただたのですが、
私のカルテに目を通した先生は「毎年4月に来られていますね」と指摘しました。

カルテを見せていただくと、昨年は同じ時期に火傷をして駆け込み、
一昨年は命日にアボガドと同時に指を切り駆け込んでいました。

思わぬ私的に動揺し、
「ああ、ここ数年は心にでなく体に傷を負っていたのだなぁ」
と思いながら考えました。
この先生に、どこまで自分の事情を開示すべきかを。

頭に浮かんだままの言葉をいう訳にはいきません。
「この季節は息子が死んだ季節で、記念日反応なんですよー」
等と言ったら相手は困ってしまいます。
そして困った人と言うのは「何かを言わなければ」と思うあまり
配慮のない言葉をひねりだしてしまう可能性が高いのです。

かといって何も言わないと、「家事が年に一度下手になる主婦」となり、
不審に思われてしまいます。
そして人と言うのは一旦不審に思うと、掘り下げるような質問をするものなのです。

私は一言だけ言うことにしました。
「4月はどうも苦手な季節で」と。

先生はそれ以上聞かず、丁寧に処置をしてくださいました。

そして翌日、発熱。
薬を飲むのもおっくうで、1日中熱にうなされていました。

翌々日。
外科に経過を見せに行くと、経過は良好とのこと。
「その後お変わりはありませんか?」と聞かれたので
「高熱が出ました。傷のせいではないとは思いますが」
とつぶやきました。すると先生は、
「傷の状態は良好ですから、その可能性はありません。
風邪もお薬も出しておきますよ」
とおっしゃってくださいました。

そしてさらに
「しっかり食事をとってくださいね。
傷の回復にはビタミンAが必要ですし、風邪の回復にはお野菜が必要です。
今夜は牡蠣鍋にするとよいと思います。体も温まりますし」
と夕食の献立までアドバイスしてくださいました。

食欲のなかった私ですが、その親切に後押しされるように、
スーパーへと向かいました。

あいにく牡蠣の季節は終わってしまったようで入手できませんでしたが、
心が温かくなり、夕食を作る気力が湧きました。
そしてそれから2晩で回復することができました。


怪我をしてしまった当初は
「気を付けていたのに、やってしまった」と落ち込みましたが、
私も少しは対処方法が身についてきたかもしれない、
と思えた7回目の春でした。

2014年5月15日木曜日

写真撮影

今週、プロのカメラマンさんにお願いして、商品のイメージ写真を撮影していただきました!

撮影が難しい「お水に浮かべたキャンドル」もこの通り。

創業以来「自分でできることは自分で」をモットーに
ケチケチ経営をしていた碧香堂。
せっかく創業助成金をいただいたのに活用出来ていないと感じていました。

また「パッとみて3秒で何のお店か分かるTOPページ」づくりに取り組んできましたが
なかなか上手くいかず、様々な方に相談したところ
・商品の写真でなく、商品の使用シーン
・贈答のシーンやイメージ写真
が足りないのではないか?と、指摘を受けました。

なるほど確かに。

そこで、思い切ってプロのカメラマンさんに撮影をお願いすることにしました。

顔合わせがてらお打合せをお願いしたところ、
「スタイリストを頼むと高くなる。
スタジオに家具を運び込むとレンタル代がかかる。
それよりも自宅などの家屋で撮影するのが費用的にはベスト」
とのこと。そこで私の実家に私の私物を持ち込んで撮影をすることになりました。

小道具に使う生花も、「種類を指定して手配をすると高くなるので、
ご自分のお気に入りのお花屋さんで購入するとよいですよ」
と言われ自分で手。

当日は朝10:00から夕方16:00までみっちり撮影していただきました。

上記写真の撮影風景はこちら。

様々な細工をして「水に浮かぶフロートキャンドル」を固定。

 こんなにたくさんの機材を持ってきてくださいました。

私も頑張って、可能な限りの小物を用意。

多すぎたかも・・・。荷造りも運ぶのも大変でした。
次に機会があればもっと厳選して持参しようと思います。

お花もたくさん用意。

実は準備でほぼ徹夜だった私。
反省点も多々ありますが、心配だったお天気もなんとか持ち
無事終わってほっとしました。

後は、早く写真をショップ上でお披露目できるよう
頑張ります!


◎今回ご協力いただいたプロの皆様◎
  お花:SOUS LE GUI
  撮影:ジョイスクリエーション