2014年11月30日日曜日

手作業

喪中お見舞いのご注文が舞い込む季節になりました。

皆様にご愛顧していただいている碧香堂の「お悔やみのご挨拶状」サービスは、
店長かとうが一つ一つ印刷して封筒に入れ、お品物に同封してお届けしています。

備考欄に書いていただくフリーのメッセージはどれも心に沁みるもので、
今年も沢山の人が亡くなって、沢山の人が悲しみ、沢山の人が思いあっている、
ということを実感させられます。

死別とその痛みは、生きている以上避けられないことですが、
碧香堂の存在が少しでも慰めになればと思います。


皆様のお気持ちがきちんと遺族の方に届くよう、
包装技術にも気を配り、定期的にシモジマのラッピング講習会に参加してラッピングの技を磨いています。

今週はクリスマス特別ラッピング講座に参加し、様々な基本的な技を復習してきました。
斜め包み・合わせ包み・風呂敷包みを復習し、新しいリボンのテクニックを学びました。

周囲の方々から、
「事業を大きくするためには、いつまでも自分で梱包していてはだめだ」
「作業を委託することも考えなければ」
というアドバイスをいただくことも多いのですが、
包装と梱包作業は、この事業の意義をかみしめられる貴重な瞬間。

もうしばらくは、店長自ら心を込めて手作業で
印刷とラッピング、発送手続きを行いたいと考えています。

2014年11月25日火曜日

ANNA GRIFFINのカード(9)注文

お取引に至らなかったとあるキャンドルメーカーとの交渉のお話は終了。ようやくANNA GRIFFINの再登場です。

【今までのお話】
ANNA GRIFFINのカード(1)出会い
ANNA GRIFFINのカード(2)カタログをください
ANNA GRIFFINのカード(3)キャンドルメーカー
ANNA GRIFFINのカード(4)エレベータースピーチ
ANNA GRIFFINのカード(5)エレベータースピーチ2
ANNA GRIFFINのカード(6)作戦会議
ANNA GRIFFINのカード(7)英語プレゼン準備
ANNA GRIFFINのカード(8)商談

☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜

ぐっすり寝た翌日。私はANNA GRIFFINのブースへと出かけました。

今回の商談で私は「気に入った企業と取引していただけるのはそれだけで幸運」ということを学びました。

アトランタに滞在できるのはもう今日だけ。
カタログの入手にこだわっている場合ではありません。
注文を受け付けてもたえるのならば、注文してしまおう。
そう決めて、相変わらず華やかなブースに足を踏み入れます。

「はぁい、ガール!」
グラマラスな美女が私を快く迎えてくれます。

彼女をがっかりさせたくないので、私は最初に断ることにしました。
「こんにちは。私は今日、カードの注文に来ました。
どのカードも素敵なので迷ってしまうと思います。私に時間をください」

彼女はにっこり笑っておっしゃいます。
「ええ、どうぞ。好きなだけ時間を使ってちょうだい。でも、助けがいる時は声をかけてね」

さて、どうしたものか。
私にはバイヤーとしての経験がほとんどありません。自分の直感だけを頼りに選んでいきます。

まず、一目ぼれした黒のレースとリボンのカードを選びました。
これぞ、私が抱いていた「素敵な喪のギフトがあってもよいのではないか?」というテーマへの解だと思ったカードです。

次に、シンプルでかわいいエンボスカードを選びました。
デザインがとても私好みですし、お手頃価格なのでカード文化が根付いていない日本でも受入れられそうです。
4色のバリエーションがありましたが、喪のシーンにぴったりのグレーと、碧香堂のテーマカラーの紺色を選びます。

価格帯に幅があった方がよいでしょう。
もう1つ、リボンのついたゴージャスなカード達から1つ選びます。
素敵なデザインが多くて、悩みに悩みましたが、 アイボリーの幅広レースが印象的な四角いカードを選びました。
少し高価かもしれませんが、クオリティーを考えるとむしろコストパフォーマンスがよいと思ったからです。

今回は、はじめての取引なので、教科書通り最低注文価格での注文を狙います。
そうすると、円状のレースのこのカードがぴったり。
日本では見たことがない個性的なデザインですが、先般苦労してタイで入手したお花のろうそく箱入りギフト
雰囲気もぴったりあいます。

悩ましいのは、色のセレクト。
このカードには、ゴールド(金)、黒、灰色、アイボリーの4色がありました。
まずゴールドは除外するとして、黒か灰色かアイボリーか。
他とのバランスを考えるとアイボリーも悪くありません。
でもこの素敵なレース模様が引き立つのは黒。しかし黒は既に選んだ他のカードとイメージが重複します。
となると灰色もいいです。碧香堂は紺色の包装紙を使う予定なので、色が映えそう。
ショップスタッフの彼女に相談すると、「ネイビーにはこのグレーが合うわ」と断言されたので、
灰色にすることに決めました。

(と、文章にするとすんなり決まったようですが、実際には目移りしたり、計算し直したり、
てんやわんやでした。)

このブースは、ハンディ端末での注文。
ディスプレイに注文内容が表示され、確認できるのが安心でした。



そして帰国。
送料の確認を行い、いよいよ輸出していただくことになりました。
ドキドキしながら待つこと約10日間。

ようやくカードが届きました。
梱包は完璧。破損もありません。心配だったリボンもつぶれていませんし、
実物が確認できなかったエンボスカードの紺色もいい色合いです。

しかし5つ目のダンボール箱を開封した私は自分の目を疑ってしまいました。



これ、ゴールド・・・・。

色を間違えてしまうのは仕方のないことかもしれませんが、よりによってゴールドが届いてしまうとは。
私は急いでミプロの貿易アドバイザーに相談し、メールを出すことにしました。
「私はグリーフケアのギフトショップなのでゴールドは売れません。
注文した灰色に交換してください。在庫がないのならば、黒かアイボリーでも構いません」と。

その後すったもんだがあり、発送したと言われたのですが、その荷物がちっとも到着しなかったり、
紆余曲折ありましたが、なんとか私は注文通りの灰色のカードを入手することができました。

☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜

本日、他のカードに遅れて公開したのが、このANNA GRIFFIN レースサークルカード【グレー】です。
ケース入りの10枚セットもございます。

2014年11月20日木曜日

ひっそり暮らしたいという気持ち

今年の6月から、公的機関で経営相談のお仕事を始めた私。
「もっとSEとしての経歴をPRしたらよいのに!」
「講師として名前を売るチャンスなんだから、もっと積極的にマスコミに出ればよいのに!」
そう言っていただくことが増えました。

「どんな形であれ人前に出れば、碧香堂やグリーフケアギフトへの注目も集まるかもしれない」
そう考えようとするのですが、尻込みしてしまう自分がいました。
正直に言ってしまうと「それはごもっともなのですが、なんだか、気が進まないのです…」という状態です。

私は死別直後に、それまで普通の人だと思っていた人にひどく無神経な言葉を投げつけられてから、
対人恐怖症のようになったことがあります。
自分では克服したつもりなのだけれど、まだ恐怖心が残っているのかもしれない。
それとも私はまだいじけているのだろうか?

そんな風に自問自答していたある日、私と同時期に旦那様を亡くした経営者の方とお話しをする機会がありました。
その方は、私と同じような気持ちがあるとおっしゃいました。
「自分の名前や写真を自社ホームページに掲載するのさえ嫌だ」と。

そういえば私も、「ひっそり暮らしたい」と思って、ネットショップ運営の道を選んだのでした。

「ひっそりと暮らしたい」「目立つことは嫌だ」。
この気持ちは、手痛い死別を経験した方に共通する気持ちなのかもしれない。
ちょっとしたヒントをいただきました。


そのまた後日。お仕事で遠方のホテルを訪れました。
このホテルは、私がSE時代に最も大変だったプロジェクトの間泊まり込んでいたホテル。
遠い昔のことなのですが、ちょっぴり複雑なこのホテルの構造を覚えている自分がいたりして、
当時の張りつめた気持ちと忙しかった日々を、懐かしく思い出しました。
痛みと共に。

そうして私は、ようやく気づくことができました。

私は、SEとしてやり残したことがあり、未練があるのです。
産休前には、「出産後も続けられる仕事」を求めて社内で実績とコネクションをつくり、
「30代は何が何でも育児と仕事を両立させて見せる」と意気込んでいました。
それなのに、想定外の息子の病と闘病生活、そしてそのショックすぎる終わり方に、私はすっかり打ちのめされてしまいました。
息子の死別後、なんとか職場復帰はしたのですが、以前のように頑張れない自分に気づき、退職という道を選んでしまいました。

私にとって、SEとしてのキャリアを意識することは、息子との死別を思い起こすことにつながります。
だから私はSEとしてのキャリアを意識したり話したりすることが嫌だったのです。


PTSDの症状の一つに、「回避行動」と呼ばれるものがあります。
ショックを受けた出来事やそれを連想させる行動や物事を避けようとする心の働きです。

私にとって、SEとしての記憶をたぐることは、息子の死を連想させるので、
私はそれを回避していたのです。

謎が一つ解けました。

どうすれば克服できるのか、今はまだ分かりません。
けれど、このことに気づけたことは、私にとって大きな前進です。
今までに「自分の課題を認識さえしてしまえば、解決までは意外に早い」という体験を繰り返しているからです。
今度もきっと、いつか自分なりの解決方法にたどり着ける気がします。


そしていつかあの経営者の方に、この発見を伝える機会があればと思います。



参考:PTSDについて(厚生労働省のサイト)
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_ptsd.html

2014年11月12日水曜日

トップページの更新とセミナー講師

ようやく碧香堂メンテナンスの時間が確保できた先週。
トップページの改編に取り組みました。

グリーフケアギフトの碧香堂
(↑クリックで碧香堂TOPページへ飛びます)

「グリーフケアギフト」という聞きなれないコンセプトを理解していただくために
ギフトの使用シーンを中心にスライドショーで表現しました。


ショップページの作成に着手したばかりの1年半前。
創業仲間に紹介された「元・楽天ショップ運営アドバイザー」という方に
「使用シーンがわかる写真があった方がよい」とアドバイスをしていただきました。

しかし、商品撮影にも四苦八苦していたカメラ初心者の私。
あれから1年半後にようやくいただいたアドバイスを実現することができました。


そして、そんなアドバイスをしてくれた彼とは、今年の6月から同僚に。
同じ「愛知県よろず支援拠点」で、彼はEC、私はITの相談を担当しています。

そして、この度「ネットショップを始めてみよう」というセミナーで2人で講師を務めることになりました。
(↓クリックするとfacebookのセミナー告知ページに飛びます)

11月14日ネットショップの始め方

このセミナーはシリーズで、「もっとたくさん売ってみよう」という販売促進のクラスもあるのですが、
そちらの講師は今回は辞退。

今後は、胸を張ってどのようなセミナー講師も受けられるよう、
日々精進を続けたいと思います。
 

2014年11月6日木曜日

10月の出会い

講師として講演に呼んでいただいたり、セミナーを開催したり。
10月は、人前に立つお仕事が続きました。

創業の動機を話す時以外は、活き活きと働いていた以前の自分のよう。

けれど、私にとって10月は、待望の退院を待ちわびながら、お礼と記念のお菓子を入院仲間に配った
想い出深い季節でもあります。

10か月におよぶ入院生活からの卒業が近づいてきたのは、7年前の10月の中旬。
ハロウィンの季節だったので、ハロウィン柄の袋にお菓子を入れて、入院仲間に配りました。
入院中は季節感が薄れてしまうので、季節の行事は大切で喜ばれるのです。

講演という慣れないお仕事に緊張し、気持ちが張りつめていても、
通勤途中にハロウィンの飾りつけを見かけると、即座にあの頃のことが思い出されます。

周囲の方にとっては、「7年も前の昔のこと」なのでしょうが、私にとっては、つい先日のことのよう。

最近「すっかり元気になったようでよかった」と言っていただくことが多いのですが、
私の実感は「変わってしまった自分をなんとか隠すことができるようになった」というところです。


そんな中、先日私と同じ時期に大切な家族を喪った方と出会うことができました。
その方も同じ想い感じているのだそう。

当事者としての想いを対面で分かち合えるのは貴重な機会。
病院の同窓会に参加できずにいる私にとっては、初めてのことです。

大勢の人と出会うお仕事は緊張を伴いますが、時にはこんなご褒美もあるのだと嬉しくなりました。


そしてまた、息子と同じ病気を克服して、起業を目指して頑張っておられる青年にも
出会うことができました。
彼はご両親から病気のことをほとんど聞かされていないのだそうですが、
私は勝手に勇気づけられてしまいました。


思いがけず履くことになった二足のわらじ。
体力的にも精神的にもキツイなーと感じることもしばしば。

ですが、二足目のわらじのおかげで、このような貴重な出会いに恵まれました。

大変だったけれど、頑張ってよかった。
そして、やはりグリーフケアギフト事業も頑張ろう、と思えた出会いでした。