2016年3月29日火曜日

京都グリーフケア協会訪問

先週、京都でとある会に参加し「遺族としての体験とグリーフケアの必要性」
について話す機会をいただきました。

奇しくもその日は息子の誕生日。
「遺族としての体験」をテーマに語ることは私にとってはじめての経験。
この日にこのテーマで話すことになるとは、因縁を感じられずにはいられませんでした。

会場は「京都グリーフケア協会」のすぐ近く。
こちらの協会は「グリーフケアスクールの実施」が主な事業。
手元供養商品のギャラリーと図書館を併設しており、
日本では数少ないグリーフケアの常設施設です。


グリーフケア関連書籍が集まっている図書館に以前から興味がありましたが、
「自分がケアを施す側に回れるほどの強さはまだない」と自覚してる私にとって
こちらは少々敷居の高い施設。

でも今回はお導きのようにすぐ近くに泊まる機会があり、
会の主催者の方に「京都グリーフケア協会さんを覗いていたら
どうぞどうぞと気軽に招き入れてくれましたよ」と教えていただいたこともあり、
会の翌日に訪問してみました。


場所はすぐに分かりました。
七条の駅から少し入った、落ち着いた雰囲気の町並み。
その中でひときわ鮮やかなオレンジ色の暖簾が目印でした。


敷地に足を踏み入れてみましたが、人の気配がありません。
しかし玄関は大きく開け放たれていたので、ご挨拶して上がり込みました。

入って左手が手元供養のギャラリー。
右側から人の声がしたので導かれるように階段を登ってみると
そこが図書室で、ようやく事務の方とお会いすることができました。

名刺交換をし「私は遺族の立場で、グリーフケアが少しでも広まるといいなと思って
モダンなお線香やロウソクを輸入し、"グリーフケアギフト"と名付けてネットショップで売っています」
と自己紹介。
すると「僕、このお店知ってます。ネットで見ました」と思わぬお返事をいただきました。

日本を代表するグリーフケア関連協会の方が、私の碧香堂のことをご存じだなんて、
ちょっとしたプレゼントをもらった気分でした。


図書室には、遺族としての体験談(子供を亡くした方・配偶者を亡くした方・自死遺族の方・犯罪被害者の方など)、看護関係の書籍・心理カウンセリング系の書籍・文学系の書籍
がぎっしり並んでおり、ソファーにすわってゆったりと目を通すことができました。



「自分がケアを施す側に回れるほどの強さはまだない」と感じながら、
「そんな自分にもできそうだ」と考えたのが、私の碧香堂の「グリーフケアギフト」事業です。


ギフトならば、必ず遺族の手元に届けられるます。

ギフトを受け取った遺族にもし少しだけ余裕があれば
「このちょっと気の効いたお線香とろうそくはどこの物なのかしら」と箱を調べる。
そこには「グリーフケアギフトの碧香堂」と書いてある。

「グリーフケアギフトって何かしら?」と調べると、
サイトに行き着き「遺族仲間が始めた事業だ」と知ることができる。

そして「グリーフケア」の存在を知ってもらい、「自分はケアされるべき存在なのだ」と思ってもらう。
そうすれば少しだけ心が癒される。

そんなことを夢見て私はこの事業をはじめました。


ネットだけで細々と展開していた事業ですが、
昨年後半から、徐々に認識が広まっていることを感じられるようになりました。

同時に課題も明確になってきて、「私一人でやり遂げられるのだろうか」
と不安を感じることも増えました。

しかし今回京都を訪れたことで、
「グリーフケアギフト事業は世の中に必要とされている」と手ごたえを感じられることができました。


息子を亡くした後、何度か一人で訪れた京都。
そんな京都で今までになく前向きになった自分を認識できたのは収穫です。


桜がほころびはじめた平日の京都にはやさしく穏やかな雰囲気が漂っていました。

私は「課題は一つ一つ確実に解決していくしかない。
あのどん底から這い上がったことと比べれば何でもないことだ。」
と自分に言い聞かせながら帰路につきました。



2016年3月27日日曜日

業務委託

これまで店長かとうが一人で運営してきた碧香堂。

郵便局様向けの「窓口グリーフケアギフト」の注文数が飛躍的に伸びたことをきっかけに
組立・梱包・出荷作業を業務委託することになりました。

委託先に選んだのは、就労継続支援a型事業所「とものわ」さま。
様々な障害を持つ方が力をあわせ、軽作業や農作業に取り組んでいる事業所です。

担当の職員の方の事務能力もすばらしく、何度かの打ち合わせと試行を経て
「こちらになら安心して碧香堂の出荷作業をお願いできる」と判断しました。

先週、作業所を訪問してみたところ、ちょうどお線香の袋詰め作業が行われているところでした。


メンバーの特性をいかして作業を分担しているとのこと。
皆さんが楽しげに・熱心に取り組んで作業してくださっていることが分かり、うれしかったです。


そして、こちらの作業所では、軽作業は事業の柱の一つとのことで経験も豊富。
私では思いつかないようなチェックも行われており、委託して正解だと感じました。
(完成したパッケージごと重さをはかって、本数の過不足がないかを確認!)


きれいに整頓された事務所の様子から、職員の皆様が自律的に仕事に取り組んでおられるのが感じられました。



帰り際「もっと碧香堂さんのお仕事が欲しいです(^^)」とにっこりアピールされ、どっきり。

これだけの数の作業員のみなさんにお仕事を届けるべく、営業活動もがんばろうと思いました。





2016年2月20日土曜日

年賀状ジャーナル掲載



株式会社アイデア工房様が発行する「年賀状ジャーナル Vol3」にインタビューを掲載していただきました。

碧香堂@年賀状ジャーナル
















郵便局様と共同開発した「窓口でご遺族へお配りするグリーフケアギフト」をきっかけに、
取材依頼をいただきました。

遠鉄百貨店で「喪中お見舞い」を発案された株式会社印章印刷工房の小松澤さま、
三雲天白郵便局の山﨑局長、西麻生郵便局の松田局長と共に取材を受け
4ページの特集記事にまとめていただきました。

私は、碧香堂の創業経緯、息子との死別直後に経験した様々な窓口での経験、
そして窓口グリーフケアギフトに込めた想いを掲載していただきました。


実は、創業の際「いつか遺族の立場から、現代の喪の習慣に異議を唱えられるようになりたい」
と密かに決意しておりました。
思いがけない形で夢がかない、感無量です。

当初、郵便局様からギフト開発の提案を受けた時、
「碧香堂の理念にマッチするものが作れるのだろうか。
現在の碧香堂にとってはリスクの大きい投資になるのではないか」と懸念しましたが、
山﨑局長が「本当にグリーフケアが必要なのは、死亡後の手続きに訪れたご遺族なのではないか」
とおっしゃった時、自分の様々な体験が思いだれ、「やってみよう」と決意しました。

経験の浅い私にとって困難が伴うチャレンジでしたが、
様々な方にご支援いただき、無事配布開始にこぎつけることができました。

昨夜、今回の試みに賛同してくださった皆様がまとめられた
「グリーフケアギフトを配布した際のお客様の反応」のレポートが私の元に届き、
短い文章の中にも様々なご遺族の葛藤とグリーフが感じられ、
思わず涙してしまいました。

私のような想いをする遺族の方を一人でも減らしたい。

そう考え始めた碧香堂事業。

ようやくその一端をかなえることができました。
今後は、この動きをより大きくするにはどうしたらよいのか、
今まで以上に考え戦略を練らなければと感じています。

皆様のご支援でここまでこれました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


2016年2月11日木曜日

東京ギフトショー 2016春

去る2016/2/5、東京ギフトショーに行ってまいりました。

お取引先にご挨拶し、競合他社(?)の動向をチェックし、
グリーフケアギフトになるような商品がないか探すのが目的です。

名古屋から上京しての参加なので、滞在時間は限られ、
広大な会場を早足で歩きまわることになるのですが、
時には思わぬ出会いに恵まれます。

今回、つい足を止めて見入ってしまったのが、有限会社第一創芸様のブースにあった「スタイルふくさ」。

「ふくさもドレスアップしましょう」がキャッチコピーで、
ビビットな水玉やレースでいろどられた様々なふくさが展示されていました。

幸運なことにデザイナーの方がいらっしゃり、お話させていただくことができました。

私も「新しい形の喪のギフトを提案しているんです。
でも、時々"本当にこんなものを贈ってもよいのでしょうか"という声をいただいて…」
と話しかけると

「ああ、ふくさは自分で持つものですが、贈り物は難しいかもしれませんね。
でも私、こういうものも変わっていく時代だと思うんですよ。
タブーのある世界だからこそ、やったもの勝ち、提案したものの勝ちだと思うんです」
とお返事が。

短い時間でしたが、「同じことを考え、形にされている方がいる」と勇気をいただくことができました。


あの大きな会場では、こんな風に大小さまざまなドラマが生まれているのでしょう。
「碧香堂もいつか出展する側にまわりたい」と思った出来事でした。