2013年11月20日水曜日

お花のろうそく(3)-ミプロのサポート

帰国後、すぐにお花のろうそくのメーカーにメールを打ちました。
しかし返事がありません。

ジェトロの相談窓口で相談しましたが、
「貿易は、相手もこちらも満足しないと取引は成立しない。
あなたは商品を気に入ったのかもしれないが、
向こうはあなたを気に入らなかったのでしょう。
もっと大きな会社との取引を希望しているとか。」
と言われてしまいました。

私の起業は、あのろうそくとお線香があることが前提です。
「どれだけよい商品でも、諦めなければいけないこともある」
と言われましたが、諦められません。

「どうしたものか」と悩んでいた私にミプロからメールマガジンが届きました。
東京での「海外展示会・見本市での雑貨買付け基礎実務」
というセミナーの開催を知らせるものでした。

まさに、私が悩んだ「見本市での買い付け」の実務を学べる講座です。

ミプロは、小口輸入をサポートする団体で、東京に窓口があります。
セミナーの参加費は1000円と格安ですが、問題は交通費。
東京まで新幹線で行くとかなりの出費です。

しかし、このまま届かないメールを待っていても仕方ありません。
それに無駄に何回もタイに行くよりは効率がよいでしょう。
私は思い切って東京まで行くことに決めました。

セミナーに行く直前に、ようやくお花のろうそくのメーカーからメールが届きました。
そこには、1回の最低注文金額が高額であることと、
既に日本の大手雑貨店との契約があることが書かれていました。

ううむ。これは難しそう。
それに、見本市で私が気に入った商品がカタログに記載されていません。

私は、条件にはあえて触れずに、見本市での写真を添付し
「私が気に入ったこの商品はいつから注文可能ですか?」
とだけ問合せをしました。
お礼の言葉と、いかに自分があなたのろうそくに魅せられているかを添えて。

しかし、返事はありません。

一方、東京で開催されたセミナーは私にとって有意義なものでした。
「アジアの見本市での買い付けは1回の注文が高額になる。
欧米の見本市では、卸売業が発達していないこともあってメーカーが直接小売店に売る。
そのため少額でも注文を受け付けてもらえる」ということを知りました。

そして「アメリカの見本市への買い付けツアーが開催される」と説明がありました。

専門家も随行して、商談をサポートしてくれるとのこと。
応募条件に「法人であること」と書かれていたので諦めていたのですが、
セミナー終了後にミプロの方にご挨拶したところ、
「過去には個人で参加した方もいらっしゃいますよ。
アメリカ大使館の厳しい審査を通過すれば参加できます。
チャレンジしてみては?」と勧められました。

専門家に同行してもらえれば、私の何がいけなかったのか、
はっきり理解できるでしょう。
これはまたとないチャンスです。

「よし、ダメモトで応募してみよう」と応募してみたのですが、
この審査が厳しいのなんの。

要するに、アジア各国からの参加は「コピー業者じゃないのか」と疑われる訳です。
その疑いを晴らすために「本当に小売をしています」ということを
証明しなければならないのです。

困りました。
私には商売の実績というものは皆無なのです。

受付を担当されているアメリカ大使館の担当女性からも
「あなたの場合、バイヤーで登録するのはかなり困難です。
ゲストでなら登録可能です。
しかしゲストでは買い付けができない可能性が高いです」
と言われてしまいました。

バイヤーで登録するには、
「商工会の会員登録や、事業税の納付記録など、公的な記録が必要」
とのこと。

公的な記録・・・・しばらく考えて、はたと思いつきました。
私の手元には、タイからあのろうそくを持ち込んだ際に税関で支払った
消費税の領収書があります。

私は、タイに行く前にジェトロの方に輸入手続きを相談していました。
その際、
「もし買い付けができたなら、帰国時は手続きを学ぶためにも正々堂々と申告すべき。
通常なら20万円以下の物は見逃されるから、コスト的にも問題ない」とアドバイスされ、
それに従ったところ、大方の予想に反してしっかりと課税されてしまった。

通常ならば見逃されるであろう小さな金額だったのですが、
・タイバーツで記入すべきところを、私は誤って日本円に換算した金額を記入していたので
3倍の金額で、税関審査官に認識されてしまった
・私を担当したのが新人らしい税関審査官で、上司に判断を求めた
・上司らしき方に輸入の目的を聞かれたので、私は正々堂々と「今後販売してみたいと考えていて、これはそのサンプルです」と答えた
の3点が重なって、300円だけ消費税を徴収されたのです。

たかが300円、されど300円。
これは立派な「消費税納付」の証拠となるのではないでしょうか。

私は、この領収書に加え、バンコクの展示会で使った
「何故私はこのビジネスを始めるか。
どのようなビジネスモデルを考えているか」の説明資料。
そして、「なぜアメリカで買い付けをしたいか」と「今後のビジネス計画」
を添えて提出しました。
日本語だけでなく、英訳も添えて。
日本語の資料に英訳を加える作業は、SE時代に行った経験があったため比較的スムーズにできました。

そして私は、見事参加を許されることになりました。

それまで厳しい態度だった大使館の女性が電話で
「書類を見ました。グーーレイト!
よく短い時間でこれだけの資料を揃えましたね。 
おそらく先方も許可するでしょう」
と弾んだ声で話してきてくれた日のことを、私は今でも鮮明に覚えています。

当時使用した資料の表紙。

 

余談ですが。
今年もこのツアーに参加しようと申し込んだところ、彼女の突然の訃報を知りました。
事業の成果を報告したい方の一人だったので、
十分な成果を報告できないままであることを悔しく思います。
次の記事へ続きます。

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