2014年3月10日月曜日

3.11に寄せて

3月11日がやってきます。
ご遺族の方には心穏やかでない日々をお過ごしのことと思います。

東日本大震災の約5か月前、私は碧香堂のお線香とろうそくと出会いました。

そして漠然と「あのお線香とろうそくを輸入してみたい。
きっと子供を亡くした親仲間にも喜んでもらえるだろう」
と思いながらも決心がつかず、IT業界内で転職した直後、あの震災がおこりました。

被害が明らかになるにつれ
「'突然子供を亡くした親'という仲間が沢山できてしまった」
といてもたってもいられない気持ちになりました。

そしてしばらく経った頃、TVで偶然二人のお子さんを亡くしたご夫婦のことを目にしました。
そのご夫婦は、お子さんの遺体が見つかった場所に様々なろうそくを灯しておられました。

きんぎょやスイカ、動物やケーキ。

私自身にも様々なろうそくを探し求めた時期があるので分かります。
「少しでもあの子が喜ぶような、かわいくて子供らしいそうろくを」
そう思うと次々にろうそくを買い求めてしまうのです。

けれど、そういったろうそくは、あまり売っていません。
被災地でないエリアに住む私でもそうだったのです。
あのご夫婦は、お二人であちこちに足を運び苦労して探し求めたのだろう
と容易に想像がつきました。

そして私は勝手に使命感を感じました。
「私はあのろうそくとお線香を輸入して、全国の仲間に届けなければ。
それが私がやるべきことだ」と。


あれから3年経ち、紆余曲折を経て、
私はなんとか碧香堂を運営できるようになりました。


なんでもない日に突然家族を亡くした者としては、
日本中や世界中で黙とうをしてもらえる震災の遺族の方を
少し羨ましく感じることもあります。

けれどあの非日常の中で喪失の時間を過ごすことは、
私達には想像のつかない心痛と苦労の連続であったことと思います。
そしてそれは今も続いているのでしょう。

グリーフケアアドバイザー協会の皆さんも、
「震災遺族の皆様は、死別と向き合う前にトラウマと戦わなければならない。支援が難しい。」
とおっしゃっていました。


東北の方からご注文を頂くたびに、私はあのご夫婦のことを思い出します。

どうか被災者の皆さんが、周囲の方に邪魔されることなく
亡くなった方を想うことができますように。

私はそう願いながら3月11日を迎えます。

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