先週、京都でとある会に参加し「遺族としての体験とグリーフケアの必要性」
について話す機会をいただきました。
奇しくもその日は息子の誕生日。
「遺族としての体験」をテーマに語ることは私にとってはじめての経験。
この日にこのテーマで話すことになるとは、因縁を感じられずにはいられませんでした。
会場は「京都グリーフケア協会」のすぐ近く。
こちらの協会は「グリーフケアスクールの実施」が主な事業。
手元供養商品のギャラリーと図書館を併設しており、
日本では数少ないグリーフケアの常設施設です。
グリーフケア関連書籍が集まっている図書館に以前から興味がありましたが、
「自分がケアを施す側に回れるほどの強さはまだない」と自覚してる私にとって
こちらは少々敷居の高い施設。
でも今回はお導きのようにすぐ近くに泊まる機会があり、
会の主催者の方に「京都グリーフケア協会さんを覗いていたら
どうぞどうぞと気軽に招き入れてくれましたよ」と教えていただいたこともあり、
会の翌日に訪問してみました。
場所はすぐに分かりました。
七条の駅から少し入った、落ち着いた雰囲気の町並み。
その中でひときわ鮮やかなオレンジ色の暖簾が目印でした。
敷地に足を踏み入れてみましたが、人の気配がありません。
しかし玄関は大きく開け放たれていたので、ご挨拶して上がり込みました。
入って左手が手元供養のギャラリー。
右側から人の声がしたので導かれるように階段を登ってみると
そこが図書室で、ようやく事務の方とお会いすることができました。
名刺交換をし「私は遺族の立場で、グリーフケアが少しでも広まるといいなと思って
モダンなお線香やロウソクを輸入し、"グリーフケアギフト"と名付けてネットショップで売っています」
と自己紹介。
すると「僕、このお店知ってます。ネットで見ました」と思わぬお返事をいただきました。
日本を代表するグリーフケア関連協会の方が、私の碧香堂のことをご存じだなんて、
ちょっとしたプレゼントをもらった気分でした。
図書室には、遺族としての体験談(子供を亡くした方・配偶者を亡くした方・自死遺族の方・犯罪被害者の方など)、看護関係の書籍・心理カウンセリング系の書籍・文学系の書籍
がぎっしり並んでおり、ソファーにすわってゆったりと目を通すことができました。
「自分がケアを施す側に回れるほどの強さはまだない」と感じながら、
「そんな自分にもできそうだ」と考えたのが、私の碧香堂の「グリーフケアギフト」事業です。
ギフトならば、必ず遺族の手元に届けられるます。
ギフトを受け取った遺族にもし少しだけ余裕があれば
「このちょっと気の効いたお線香とろうそくはどこの物なのかしら」と箱を調べる。
そこには「グリーフケアギフトの碧香堂」と書いてある。
「グリーフケアギフトって何かしら?」と調べると、
サイトに行き着き「遺族仲間が始めた事業だ」と知ることができる。
そして「グリーフケア」の存在を知ってもらい、「自分はケアされるべき存在なのだ」と思ってもらう。
そうすれば少しだけ心が癒される。
そんなことを夢見て私はこの事業をはじめました。
ネットだけで細々と展開していた事業ですが、
昨年後半から、徐々に認識が広まっていることを感じられるようになりました。
同時に課題も明確になってきて、「私一人でやり遂げられるのだろうか」
と不安を感じることも増えました。
しかし今回京都を訪れたことで、
「グリーフケアギフト事業は世の中に必要とされている」と手ごたえを感じられることができました。
息子を亡くした後、何度か一人で訪れた京都。
そんな京都で今までになく前向きになった自分を認識できたのは収穫です。
桜がほころびはじめた平日の京都にはやさしく穏やかな雰囲気が漂っていました。
私は「課題は一つ一つ確実に解決していくしかない。
あのどん底から這い上がったことと比べれば何でもないことだ。」
と自分に言い聞かせながら帰路につきました。
0 件のコメント:
コメントを投稿